成魚は黒と黄色のツートンカラーに加え、鮮やかなブルーの独特な縞模様を持つ中型ヤッコの仲間です。
幼魚は黒地に白と青の縞模様があり、成長とともに模様が変化します。
他の種類に比べて、小さいうちから体色の変化が始まるのも特徴です。
本種は中型ヤッコの仲間としては比較的小型の部類に入ります。
自然下では40cmを超えることありますが、水槽内で20cmを超える程度で成長が止まることも多いです。
10cm程度で止まる場合もあり、水槽内では小型化することが多い種です。
本種も一般的なヤッコ類の例に漏れず、ポリプ食です。
サンゴのポリプを積極的に食べてしまう習性を持っているため、サンゴとの共存は基本的に不可能です。
リーフタンクへの導入は難しいヤッコといえます。
基本情報
生物学的情報 | |
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名前 | イナズマヤッコ |
別名 | マジェスティックエンゼル |
学名 | Pomacanthus navarchus |
分布 | 東南アジア、オーストラリア |
食性 | 雑食 |
グループ | ヤッコ |
飼育要件 | |
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飼育しやすさ | ★★☆☆☆ やや難しい |
入手しやすさ | ★★★☆☆ 標準 |
餌付けしやすさ | ★★★☆☆ 標準 |
混泳適正 | ★★★☆☆ 個体による |
最大体長 | 28cm程度 |
適正水温 | 24℃前後 |
リーフタンクにおける飼育のポイント
本種はどちらかといえば魚中心の水槽向きです。
サンゴを食べてしまう食性を持つため、リーフタンクには不向きです。
手のひら大になる中型ヤッコですので、終生飼育には最低でも60×45×45cm以上の水槽が必要となります。
見た目の良い格好いいヤッコなので、その魅力を充分に楽しむには充分なスペースがあったほうがよいでしょう。
餌付けについて
ヤッコ類としては餌をあまり選り好みせず、飼育しやすい種類です。
人工飼料を食べない個体には、イサザアミやアサリのむき身が有効です。
最初はこれらを与え、徐々に人工飼料に切り替えていくと良いでしょう。
混泳について
近縁種及び体形・色が似た魚とは争うことがありますので注意が必要です。
一般的にヤッコ類は気の荒いものが多いのですが、本種は警戒心が強く神経質です。
このため、ヤッコ同士のケンカでは劣勢になりやすい点に留意しましょう。
基本的には、温和な性格の生体との混泳が適しています。
ハギやチョウチョウウオの仲間であれば、比較的トラブルが起きにくいでしょう。
本種よりも一回り小さい個体を入れるのがポイントです。
どうしてもヤッコ同士で混泳させたい場合は、属が異なるヤッコを選ぶと比較的うまく行くことがあります。
本種はPomacanthus属なので、例えばCentropyge属の小型ヤッコ類(フレームエンゼルなど)を選ぶと良いでしょう。
本種より小型のヤッコを選ぶことで、争いが生じる確率が低くなります。
混泳させる場合はライブロックなどを用いてレイアウトを複雑に組むことで、お互いが攻撃されにくくなります。
本種を入れる水槽に他の魚も入れる場合は、できるだけレイアウトを複雑に組み上げることを意識しましょう。
病気について
ヤッコ類の例に漏れず、水質の変化には敏感です。
水質が悪化すると、白点病やリムフォスシティス病に罹りやすいため注意が必要です。
白点病の対策としては、水槽内の寄生虫を減らすべく殺菌灯の設置が有効です。
リムフォスティス病の対策としては、初期症状であればホンソメワケベラやスカンクシュリンプなどのクリーナー生体が有効です。
いずれも、症状が目に見えて広まってからでは遅く、事前の予防が重要です。
適切な頻度での換水を心掛け、水質の維持に努めましょう。
イナズマヤッコ まとめ
イナズマヤッコはその美しさと独特の魅力から、多くのアクアリストに愛される観賞魚です。
黒と黄色のツートンカラー、独特な縁取りの青いラインはとても個性的で、人気の高いヤッコです。
幼魚は黒地に白と青の縞模様があり、成長とともに模様が変化するため、成長過程も楽しめます。
混泳に関しては、ヤッコ類同士ではケンカする恐れがあります。
またその場合、本種が劣勢になりやすいです。
ヤッコ類同士で混泳させる場合は、本種より小型の種と混泳させることでうまく行くことがあります。
チョウチョウウオやハギ類、ハゼ、ギンポなど、体形の異なる別種に対しては温和です。
近縁種ではない魚種との組み合わせであれば、ほとんどの場合問題なく混泳可能です。
大変見栄えのする魚種ですが、ポリプ食性が強いため残念ながらリーフタンクとの相性は悪いです。
本種を飼育する場合は、リーフタンクは諦めて魚中心の水槽で飼育するのがおすすめです。
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