チョウチョウウオの仲間はマリンアクアリウムにおいて定番の観賞魚です。
種類も流通量も比較的多く、いかにも熱帯の海の魚といった容姿で人気です。
しかしながら単刀直入に言ってしまうと、残念ながらリーフタンクとの相性は良いとは言えません。
多くのチョウチョウウオはポリプ食性を持っており、サンゴのポリプを積極的についばんでしまうからです。
魚を中心としたコミュニティタンクのメンバーとしては人気の高い魚種ですが、リーフタンクには不向きな魚です。
リーフタンクとの相性
サンゴのポリプをかじってしまうので、基本的にリーフタンクでの飼育は困難と考えたほうが良いでしょう。
チョウチョウウオを入れる場合は、残念ですがリーフタンクの構築は諦めたほうが良いかもしれません。
餌付けについて
餌付けが必要となることが多いグループです。
基本的に、最初から人工飼料を食べてくれることはあまりありません。
アミノ酸系の栄養強化剤を併用することで、食べてくれやすくなります。
他に、アサリなどの貝類のむき身を与えると、良い結果が得られることが多いでしょう。
主なチョウチョウウオ
マリンアクアリウムにおいて、比較的流通量の多いチョウチョウウオは次の通りです。
鮮やかな色彩を持つ人気の魚種ですが、残念ながらいずれもリーフタンクには不向きです。
唯一の例外?カスミチョウチョウウオ
カスミチョウチョウウオに関しては、唯一といっていいほどの例外かもしれません。
本種はチョウチョウウオとしては例外的に、ポリプではなくプランクトンを中心とした食性を持っています。
潮通しの良いサンゴ礁外縁、ドロップオフの水深40m以浅の中層に群れを作り、流れてくる動物プランクトンなどを食べて暮らしています。
流通する多くのチョウチョウウオはChaetodon属に分類されていますが、本種はそれとは別属のHemitaurichthys属に分類されています。
ただし一般的なチョウチョウウオに比べやや深場に暮らすためか、流通量はやや少なめです。
本種に限っては、リーフタンクでもある程度飼育可能といえるでしょう。
“敢えて”リーフタンクで飼育する
チョウチョウウオはサンゴのポリプをついばんでしまうため、相性が悪いというのが通説です。
しかしながら、見方を変えればリーフタンクは「チョウチョウウオに自由給餌ができる環境」として捉えることもできます。
この環境は、餌付けが難しいとされる希少なチョウチョウウオにとってはむしろ好都合といえるでしょう。
スタンダードなリーフタンクのスタイルからは外れますが、お気に入りのチョウチョウウオを”敢えて”リーフタンクで飼育してみるスタイルのも一つの選択肢です。
チョウチョウウオをリーフタンクで飼育する場合は、次の2点を前提条件として管理しましょう。
- 十分な水量のある大型水槽に1匹だけ。
- サンゴのコンディションが絶好調であること。
チョウチョウウオをリーフタンクに入れる場合、お気に入りの個体1匹だけを大事に飼育するのがおすすめです。
1匹だけであれば多少ついばまれても再生しますが、個体数が多いとポリプをついばむ速度がサンゴの成長を上回ってしまいます。
またサンゴをついばませるのは、ポリプのコンディションが良いことを前提としています。
サンゴのコンディションが仕上がっていない状態でチョウチョウウオを導入してしまうと、リーフタンクがうまく構築できません。
まずはしっかりとサンゴのコンディションを仕上げて、それから導入にチャレンジしてみましょう。