ハゼから始めるサンゴ水槽入門!vol.4 まずはこれだけ揃えよう 30キューブ水槽の機材選び

サンゴ水槽に憧れるけれど、いきなりサンゴから始めるのはちょっと不安。
そんな方にこそおすすめしたいのが、“ハゼから始める”という選択肢です。

この記事はサンゴ水槽の立ち上げを目指す入門記事ですが、サンゴはほとんど登場しません。
ですが、アクアリウムは全く未経験だけど、サンゴ水槽をはじめたい!という方には必見の内容です。

前回の記事では、マリンアクアリウムにおいて流通するハゼ類の「飼育上の特性から見た分類」をお届けしました。

(第3回ここに貼る)

今回はその続編として、サンゴ飼育の前段階、ハゼ飼育に必要な機材を揃えてみましょう。

サンゴを飼育する上で必要になる機材は多種多様で、初期費用もそれなりにかかります。
しかし、ハゼを飼育する上で必要になる機材はもう少し絞り込むことができ、このため初期費用も抑えられます。

まずはハゼで海水魚飼育の基本を抑え、その後サンゴ飼育にチャレンジする土台が整ったら、そのタイミングで必要な機材を後から追加購入すればよいのです。

30キューブではじめよう

小型水槽の定番サイズ、30cmキューブ水槽

サンゴ飼育は一般に、「水量が多い=水質が安定しやすい」という理由から、大型水槽が初心者向けとされることが多いです。

しかし、30cmキューブ水槽(約27L)にも独自のメリットがあります。
特に「ハゼから始めるサンゴ水槽入門」のように段階的なアプローチには非常に適しています。

その理由としては、以下のものが挙げられます。

  • 初期費用とランニングコストが抑えられる
    • 小型水槽は機材も小型で済むため、初期投資が少なくて済みます
    • 水換えに使う人工海水の量も少なく、維持費も安価です。
  • 限られたスペースでも設置可能
    • 30cmキューブは省スペースで、デスクや棚の上にも設置可能。
    • 賃貸住宅やワンルームでも気軽に始められます。
  • 観察しやすく、管理が行き届く
    • 小型ゆえに水槽全体を一目で見渡せるため、生体の異変やコケの発生などにすぐ気づけます。
    • 掃除や水換えも短時間で済み、メンテナンスのハードルが低いです。
  • レイアウトの完成度が高くなりやすい
    • 限られた空間だからこそ、シンプルで美しいレイアウトが作りやすいです。
    • 少数のレイアウトロックを丁寧に配置することで、簡単にミニチュアの海の世界を演出できます。
  • ステップアップに最適な学習環境
    • 小型水槽は水質変化が早く現れるため、水質管理の重要性を実感しやすく、経験を積みやすいです。
    • 将来的に60cmや90cm水槽に移行する際の基礎力を養うのに最適です。

このように、30cmキューブ水槽は「小さな海」を実現しながら、コスト・スペース・学習効果のバランスが非常に優れた選択肢です。

特にハタタテハゼのような小型で丈夫な魚から始める場合には、理想的なスタート地点と言えるでしょう。

サンゴ飼育に必要な機材

まずは、最終目標となるサンゴ飼育のために必要な機材とその価格帯をおおまかに知っておきましょう。

機材名用途おおよその価格目安(円)
水槽
(30cmキューブ)
飼育スペース3,000〜6,000
高性能LEDライト
(フルスペクトル)
サンゴの光合成に必要15,000〜30,000
プロテインスキマー有機物の除去10,000〜15,000
外部フィルター水質維持4,000〜10,000
水流ポンプサンゴに適した水流を作る3,000〜6,000
ヒーター&サーモスタット水温管理2,000〜4,000
クーラー or ファン夏場の水温上昇対策5,000〜25,000
比重計 or 屈折計塩分濃度の管理1,000〜4,000
人工海水の素(約20L分)海水作成用1,000〜2,000
カルキ抜き水道水の塩素中和用200~500
マルコロック(約1〜2kg)バクテリア定着・レイアウト2,000〜4,000
サンゴ砂 (約1L分)底床600~2,000
テスター類(pH、KH、Ca、Mgなど)水質管理6,000〜10,000
自動給水装置(ATO)水位の安定化(あると便利)8,000〜12,000

合計の目安としては、約70,800〜129,500円くらいが予算の目安となるでしょう。(すべて揃えた場合)

この価格帯を見て、「ちょっと高いな…」と感じた方もいるかもしれません。
だからこそ、まずはハタタテハゼだけを飼育するシンプルな構成で始めて、徐々に機材を追加していく方法が現実的でおすすめです。

ハゼを飼育する段階では、これらをすべて揃える必要はまだありません。

ハゼ飼育に必要な機材リスト

機材名用途おおよその価格目安(円)必須度
水槽(30cmキューブ)飼育スペース3,000〜6,000必須
LEDライト(安価なタイプでOK)明るさ確保・観賞用3,000〜6,000必須
高性能LEDライト(フルスペクトル)サンゴの光合成に必要15,000〜30,000不要
プロテインスキマー有機物の除去10,000〜15,000不要
外部フィルター水質維持(性能重視)4,000〜10,000どちらか必須
外掛けフィルター水質維持(簡易)1,000〜3,000
水流ポンプサンゴに適した水流を作る3,000〜6,000不要
ヒーター&サーモスタット水温管理2,000〜4,000必須
※夏季も必要
クーラー or ファン夏場の水温上昇対策5,000〜25,000必須
※冬季は不要
比重計 or 屈折計塩分濃度の管理1,000〜4,000必須
人工海水の素(約20L分)海水作成用1,000〜2,000必須
カルキ抜き水道水の塩素中和用200~500必須
マルコロック(約1〜2kg)バクテリア定着・レイアウト2,000〜4,000必須
※ライブロックなどでも可
サンゴ砂(約1L分)底床600~2,000必須
テスター類(pH)水質管理1,000〜2,000任意
テスター類(Ca, Mg, KHなど)サンゴ用の水質管理6,000〜10,000不要
自動給水装置(ATO)水位の安定化(あると便利)8,000〜12,000不要

合計の目安としては、約20,800~65,500円くらいが予算の目安となるでしょう。
ハタタテハゼ飼育に必要な機材は、最安で約20,000円前後から揃えることが可能といえます。

揃えるべき機材の一例

水槽
照明(LED
フィルター
ヒーター
クーラー
比重計
人工海水の素
カルキ抜き
マルコロック
(レイアウトロック)
サンゴ砂

サンゴが飼育可能なフルセットでスタートする際と比較して、およそ半額程度で始められます。

機材選びのポイントと将来の見通し

ハタタテハゼの飼育は、シンプルな構成でも十分に楽しめるマリンアクアリウムの第一歩です。
ただし、将来的にサンゴ水槽へと発展させたい場合には、以下の要素を頭の片隅に入れておきましょう。

最安構成での機材選定

ハゼ“だけ”を飼うのであれば、最安構成でも全く問題ありません。
外掛けフィルターや簡易LEDライトなど、コストを抑えた機材構成でも、ハタタテハゼの飼育には十分対応できます。小型水槽での飼育に慣れるには最適なスタートです。

サンゴ水槽へのステップアップと買い替え

サンゴ飼育には、より強力な照明、水流ポンプ、プロテインスキマー、高精度なテスター類などが必要になります。最初に導入した機材がそれらに対応していない場合、機材を買い直す必要が出てきます

最終的にサンゴ水槽を目指す場合は、いくつかの機材は買い替えが前提となります。

トータルコストが高くつくパターン

初期費用を抑えるために価格優先で機材を選んだ場合、後からサンゴ水槽へとアップグレードさせる際に、高性能な機材に買い替えることになるものが増えてきます。

よくある買い替え例としては、以下のものが挙げられます。

  • LEDライト → サンゴ用の高性能ライトへ
  • 外掛けフィルター → 外部フィルターへ
  • アナログ比重計 → 屈折式比重計へ

これにより、トータルコストが割高になるケースも少なくありません
サンゴ飼育を視野に入れているなら、一部の機材は最初から性能重視で選ぶのも賢い選択です。

とはいえ、必ずしも最初からすべて高性能な機材で揃える必要はありません。
買い替え前提で割り切る機材と、長く使える機材を見極めることがポイントです。

トータルコストを抑える機材選定

サンゴ水槽へのステップアップを視野に入れた場合、初期段階での機材選びが将来的なコストに大きく影響します。

以下の3つの機材については、「買い替え前提で割り切るもの」と「最初から性能重視で選ぶべきもの」を見極めることが、結果的にトータルコストを抑えるポイントになります。

LEDライト

買い替え前提でOK。
まずスタート地点となるハゼの飼育には、安価なもので十分です。
サンゴ飼育では最終的に高価な専用ライトが必須になりますが、ハゼが飼育に要求するスペックのライトに比べ、価格差が大きいです。

このため、初期費用を抑える目的でも買い替え前提で割り切るのが合理的です。
まずは安価なLEDライトではじめてみて、飼育環境が整ったらサンゴ飼育に必要なスペックを満たす「システムLED」の購入を検討してみましょう。

魚だけなら一般的な水槽用LEDでOK
ブルーホワイトだとより見栄えがします
サンゴを本格的に育てるならシステムLED
しかしかなり高額なので、まだ不要かも

フィルター

サンゴ飼育を見据えるなら、外部フィルター推奨です。

ハゼの飼育そのものは、外掛けフィルター単独でも十分対応可能です。
したがって、将来サンゴ飼育へとアップグレードする場合、ろ過能力・静音性・拡張性の面で外部フィルターの有用性が圧倒的です。

将来的に買い替えではなく流用を視野に入れるなら、最初から外部フィルターを選ぶのが賢明と言えます。

ハゼ”だけ”を飼育するならば
外掛け式フィルター単独でも十分
将来的な拡張を見越すなら
外部式フィルターが望ましい

比重計

基本的にハゼのみで飼育する分には安価なアナログ式で十分です。

ただし、将来的にサンゴ水槽へとアップグレードする場合は、より精密な計測が可能な屈折比重計の使用を推奨します。ミドリイシなど水質の変化に敏感なサンゴの飼育には、さらに正確なデジタル比重計の使用がオススメです。

アナログ式比重計
測定精度は低いが安価
屈折式比重計
やや高価だが測定精度が高い

まずはこれだけ揃えよう 30キューブ水槽の機材選び まとめ

ハゼから始める30cmキューブ水槽では、初期費用を抑えつつ、将来のサンゴ飼育を見据えた機材選びが重要です。

まずは最低限ハゼの飼育に必要な機材だけ揃えることで、初期費用をサンゴ用に揃えた場合の半額程度で始めることができます。

ただし、将来的にいくつかの機材は買い替えが前提となります。
このうち、LEDライトはハゼ飼育には安価なもので十分です。
サンゴ用のものとは性能・価格差が大きいため、買い替え前提で割り切るのが合理的です。

フィルターは外掛けでもハゼ飼育は可能ですが、サンゴ飼育を視野に入れるなら外部フィルターを初めから選ぶのが賢明です。

比重計は基本的にアナログ式でOKです。
マメスナギンチャク、スターポリプ、トランペットコーラルなどの丈夫なソフトコーラルやLPSであれば、アナログ式でも問題ありません。

ただし、SPSなど水質に敏感なサンゴを飼育したい場合は、必要に応じて屈折計を採用すると良いでしょう。

このように、目的に応じた機材選びをすることで、無駄な買い替えを減らせます。
結果、トータルコストを抑えた水槽運営が可能になります。


次回は、今回紹介した機材を使った基本的なセット手順について解説します。
まずはハタタテハゼの飼育を目標とした、最小構成での立ち上げ方法をご紹介。

水槽、フィルター、ヒーター、レイアウト素材の設置から、人工海水の作成方法まで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。

必要な機材を揃えて、まずはハゼを迎える準備を整えましょう!

Dab.O.Haze

Dab.O.Haze(ダブ・オー・ヘイズ) 「霞のように謎に包まれた海の世界に、ちょっと触れてみよう」── 海水水槽の第一歩を丁寧にご案内。ハゼ系が得意。

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