リーフタンクにおけるサーキュレーターは、サンゴが要求する水流を作る必需品です。
要は水流ポンプです。
サンゴは種類によって、弱い流れを要求するもの、強めの流れを要求するものと様々です。
育成するサンゴの種類によっては、小型水槽の場合フィルターの水流で賄えることもあります。
しかし、大型水槽ではそれも難しくなってきます。
海中での潮の流れを再現するためにサーキュレーターは必要で、水流が全くない環境ではサンゴはうまく育ちません。
サーキュレーターの種類
大別して「スポット型」と「バー型」の2種があります。
前者は1点集中させる流れを、後者は水槽全体を攪拌させる水流を作ります。
スポット型(ボール型)
スポット型サーキュレーターは太く回転するような水流を作るのが特徴です。
小型水槽であれば1台でメイン水流として十分賄えますが、大型水槽では複数台を使用して水流に複雑な変化を付けるためのポンプとして使用します。
以前は単方向に出力する製品が多かったのですが、一方向からの水流が育成に適するサンゴは多くありません。
この解決策として、水流をコントロールできる製品が近年では台頭してきました。
バー型(クロスフロー型)
比較的登場の新しい製品です。
スポット型サーキュレーターレーターよりも水槽全体にフラットな水流を作ることができ、近年主流になりつつあります。
こちらは大型水槽に向いており、主に水槽内全体を攪拌するメイン水流を作るの適したタイプです。
長さのある形状をしていますが、スポット型よりもコンパクトに設置できるため意外と目立ちません。
このため、小型水槽でもサーキュレーターを目立たせたくない場合は、選択肢になりえます。
バー型はほとんどがコントローラー一体型の製品となります。
スポット型に比べると、ややコスト感が高くなる傾向があります。
水流コントローラー
サーキュレーターの動作間隔およびパターンを制御するコントローラーです。
製品によりセットできるパターンは異なりますが、決められた動作を決められた時間間隔ごとにONOFFを繰り返す、というものが基本です。
運転のON/OFFを繰り返すことで、OFF時に引き波が生じます。
この引き波がサンゴの育成には重要で、上下左右の複雑な揺れを引き起こします。
自然下の海中では複雑な水流にもまれ、ゆらゆらと揺れる環境がこれにより再現できます。
コントローラー一体型の製品が主流ですが、一部単体の水流ポンプに接続可能なコントローラー単体の製品もあります。
接続すればコントローラー側で設定可能な範囲で動作間隔を決め、運転することが可能となります。
ビブリオ菌対策にも有効
海水中には淡水環境と比べて多くのバクテリアをはじめとした微生物が存在しています。
このため水の動きがなくなると、すぐに酸素が消費されてしまいます。
まったく水の動きがないと、海水は淡水よりも傷みやすくなります。
これは海水中に含まれる微生物が死滅するためで、それらの遺骸によりアンモニアや硫化水素が発生します。
アンモニアや硫化水素は悪臭の原因となりますが、それだけではありません。
魚やサンゴの大敵であるビブリオ菌の発生を誘発します。
ビブリオ菌は海水魚、サンゴのどちらにも感染します。
サンゴに感染すると体組織の壊死を引き起こし、白化が進みます。
一度感染してしまうと治療が困難な病気であるため、何よりも予防が大事です。
そこで予防策として有効なのは、水を動かすこと。
すなわち、サーキュレーターの設置が有効となるわけです。
水を動かせばビブリオ菌と競合する好気性微生物が活性化し、ビブリオ菌は増殖しづらい環境になります。
水流がよどみなく水槽内の隅々までいきわたると、好気性微生物がさらに活性化し、ビブリオ菌感染症は発生しづらい環境になっていきます。
ちなみにビブリオ菌は海中に普通に存在する常在菌であるため、100%完全な駆除は困難です。
複雑な水量を作り水槽内の隅々まで酸素をいきわたらせ、ビブリオ菌が優占する環境を作らせないことが最大の対策になります。
サーキュレーターの基本 まとめ
- リーフタンクにおいて水流は必須です。
- 一方向からの水流よりも、水槽内全体に複雑な水流を作るのが有効です。
- スポット型なら複数台組み合わせると良いでしょう。バー型は1台で対応できます。
- 複雑な水流を作るには、コントロール機能付きの製品がおすすめです。
設定した任意の間隔で変化のある水流を作り、自然の海中の流れを再現できます。 - 水槽内に水流がないと、ビブリオ病を誘発する原因になります。
ビブリオ病の治療は困難なため、予防として水流のある環境づくりが重要です。
コメント