コンビクトブレニー リーフタンクにおける飼い方の基本

コンビクトブレニーは、リーフタンクとも相性の良い海水魚です。
その名前からギンポの仲間として扱われることが多いのですが、実はギンポの仲間ではありません。
また英名では「エンジニアゴビー」と呼ばれますが、ハゼの仲間でもありません。

フォリディクティス科フォリディクティス属というシクリッド目の一科一属に分類される種で、ギンポでもハゼでもなく、どちらかといえばシクリッドに近縁な種と言えます。

本種は肉食寄りの雑食性となり、コケはほとんど食べません。
「コンビクト」とは囚人を意味しており、成魚では白と黒の縞模様を持つことからそう呼ばれています。

流通する個体はほとんどが幼魚で、幼魚時代は黒の地に白い帯が数本入ります。
これは毒を持つ「ゴンズイ」に擬態しているのではないかと考えられています。
幼魚と成魚では模様が大きく変化するのも特徴です。

また模様だけでなく、幼魚期と成魚期とでは生態も大きく変わります。
それも、もはや別種といえるほど劇的に。

幼魚期の本種は遊泳性のギンポといえるような性質を持ち、中層を泳ぎ回ります。
ゴーストの様な不気味さと、ユーモラスな雰囲気を合わせ持つ、不思議な魅力の魚です。

一方で、成魚になると底生になり、底砂を掘り返す性質を持つようになります。

このように、幼魚と成魚とでは全く生態が異なるという、興味深い性質の持ち主です。
飼育自体は比較的容易ですが、最大で30cmとやや大型になることに留意しておきましょう。
60cm水槽以上での飼育がおすすめです。

また、流通する個体はほとんどが幼魚で中層を泳ぎ回りますが、約1年で成熟し成魚になります。
生態の変化を見越したレイアウトや飼育環境を整えておくことが重要です。

流通するのはほとんどが幼魚。
この頃は遊泳性。
成長すると徐々に縞模様に変化。
生態も底生に変化。
成魚になると完全な縞模様に変化。

基本情報

生物学的情報
名前コンビクトブレニー
別名エンジニアゴビー
学名Pholidichthys leucotaenis
分布フィリピン以南の西部太平洋
食性プランクトン、動物性人工飼料
グループギンポ
(分類上はギンポではありませんが、アクアリウムのカテゴリー上はギンポとして扱われることが多いです。)
飼育要件
飼育しやすさ★★★★★
とても容易
入手しやすさ★★★★☆
まずまず見かける
餌付けしやすさ★★★★★
とても容易
混泳適正★★★★☆
混泳向き
最大体長30cm程度
適正水温20~25℃

リーフタンクにおける飼育のポイント

ギンポの仲間として扱われることの多い本種ですが、どちらかといえば肉食傾向の強い雑食性で、コケはほとんど食べません。
このため、コケ取りとしての役割はほぼ期待できません。
コケ取りを目的とするのであれば、他のギンポを採用したほうが良いでしょう。
本種に関しては、”幼魚と成魚とで異なる生態が楽しめる、ペットフィッシュ的な付き合いも可能な海水魚”と捉えておくと良いです。

また、本種はある程度流れのある環境を好みます。
本種を調子よく飼育する上では、リーフタンクでの飼育は最適と言えます。

ただし、レイアウトに関しては留意が必要です。
というのも、本種は成長すると遊泳性から底生に変化し、底砂を掘り返すようになります。
レイアウトロックの下に巣穴を掘り、その中で暮らすようになるため、本種に掘り返されても問題ないようなレイアウトロック、およびサンゴの配置を心掛けましょう。
レイアウトロックの根元や、底床にサンゴを置いていると埋め立てられてしまう恐れがあります。

また、成魚は暗くて狭い場所を好みます。
シェルターを配置したり、レイアウトロックの配置を工夫するなどして、本種が快適に過ごせるような工夫を凝らしましょう。

他魚種との混泳について

基本的には他魚に対して協調性もよい魚です。
大型に成長しますが、性格は温和なままです。

カクレクマノミ
デバスズメダイ
マンジュウイシモチ
ハタタテハゼ

基本的には、他魚やサンゴに害を与えることはありません。
成長すると大型になり、存在感は抜群でありながら、温和でトラブルを起こしにくい魚種です。
このため、リーフタンクの隠れヌシのようなキャラクターとして、導入すると面白いかもしれません。

ただし生活圏が重複する種、例えば底生のハゼやマンダリンなどとは競合する可能性があります。
たとえ本種が脅威と感じていなくとも、混泳相手のハゼやマンダリンにとってはストレスに感じるかもしれません。
ケンカにならないよう、十分なスペースと隠れ場所を用意してあげることが重要です。

コンビクト・ブレニー まとめ

コンビクト・ブレニーは幼魚と成魚とで全く異なる生態が興味深い、ユーモラスな見た目の海水魚です。
ギンポの仲間として扱われることも多い本種ですが、ギンポの仲間ではありません。
シクリッドに近縁な一科一属に分類され、分類学上は大変興味深いグループに属する魚種となります。

アクアリウムの世界ではギンポとして扱われることも多い本種ですが、どちらかといえば肉食傾向が強く、コケ取りとしての適性はありません。

幼魚はゴンズイに擬態した黒地に白のラインを持ち、中層を遊泳します。
成魚になると、名前の由来にもなった囚人服を連想させる白黒の縞模様に変化し、遊泳性から底生になります。
成魚になると底床を掘る性質を持つようになるため、レイアウトロックやサンゴの配置には気を付けましょう。

本種は最大で30cmと大きく成長し、この変化も約1年の間に行われるというのですから、驚きです。
このような変化が楽しめるという点が、コンビクト・ブレニーの魅力といえるでしょう。

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