トランペットコーラル / Elegance Coral

イソギンチャクのような触手がユラユラ揺れる優雅な姿が魅力的なトランペットコーラル。
その優雅な姿から英名もElegance coralと呼ばれています。

ハナサンゴの仲間はLPSの仲間でも飼育難易度のハードルが高いグループとして知られていますが、その仲間に合ってトランペットコーラルは飼育が非常に容易です。

今回はリーフタンク初心者にもお勧めできる存在感も抜群なトランペットコーラルについて触れていきます。

基本情報

流通名トランペットコーラル
学名Catalaphyllia jardinei
分布太平洋~インド洋の熱帯海域
グループハードコーラル(LPS)
飼育しやすさ★★★★★
容易
入手しやすさ★★★★☆
比較的よく見かける

トランペットコーラル。和名ではオオナガレハナサンゴと呼ばれる本種は、ナガレハナサンゴなどを含むハナサンゴ属のサンゴです。ハナサンゴ属の中でも共肉が連結した巨大な群体に育つことからオオナガレハナサンゴと名付けられました。

本種の生息海域は非常に広く、太平洋の亜熱帯海域~インド洋の熱帯海域まで幅広く見られます。
日本近海にも生息しており、西日本の黒潮が流れる海域でも見られることがあります。

飼育は非常に容易でハードコーラルの仲間でも特に飼育しやすいことから、初めてのハードコーラルとしてもお勧めできるサンゴです。本種が問題なく育つ環境であれば、他のLPSの飼育もそれほど難しくはないでしょう。

自生地の環境 / Habitat Sea Area
給餌は少なめ
給餌が有効

光合成のみでは栄養が不足しやすい面があります。
給餌や栄養剤の使用で調子が上がりやすくなります。

適正水温 / Water Temperature
高めの水温
標準的な水温
低めの水温
深海性

一般的なサンゴが好む水温を維持します。

光色のセッティング / Lighting Spectrum
水深10m未満
水深10-30m
水深30-50m
水深50-80m

・サンゴの蛍光色素に対応した光色のものを使用しましょう。
光量は中程度。蛍光色がきれいに出る程度で問題ありません。

水流 / Water Flow
サンゴが左右に揺れる水流
澱みのないランダム水流
太くて強い水流

コントローラー付きサーキュレーターの使用推奨。
ポリプが左右にユラユラ揺れるような水流を作りましょう。
・触手が一方に倒れてしまうような強い水流は適していません。

エサの種類とサイズ / Feeding Menu
液体
パウダーサイズ
顆粒サイズ
ペレットサイズ

動物質中心で消化吸収しやすいサイズのエサを与えます。
給餌の頻度は2~3日に一度程度を目安に。給餌量は残り餌が出ない程度の少量に留めます。
共肉と骨格の境目(通称:ワックス)が薄いようなら栄養が不足しています。

カラーバリエーション

一般的なトランペットコーラル

トランペットコーラルのカラーバリエーションは蛍光グリーンのものがよく見られます。
流通しているものでよく見かけるものでは触手の先端が白やグリーン、ピンク、パープルといったものもいます。

ホワイトチップ
グリーンチップ
ピンクチップ
パープルチップ

また、数は少ないですがフラグから飼い込まれたものでは蛍光タンパク質が変異して蛍光イエローや蛍光レッドが発現したものも見られ、じっくり飼い込むことで派手な蛍光色へと変わっていく可能性もあります。

丈夫で飼いやすいだけでなく、色揚げも視野に入れることでビギナーから上級者まで幅広く楽しめるのも本種の魅力といえるでしょう。

サンゴの配置場所に注意

本種をはじめとしたハナサンゴの仲間は刺胞毒が強く、他のサンゴを攻撃します。

通常の触手に他のサンゴが触れるのも危険ですが、ハナサンゴの仲間はスイーパー触手という攻撃用の触手を出します。スイーパー触手は非常に毒性が強いため、この触手に触れた他のサンゴは共肉が壊死してしまうので注意しましょう。

ハナサンゴのスイーパー触手

このことから、ハナサンゴの仲間はサンゴを多く収容したリーフタンクでは他種を近くに配置しないのが鉄則となることを覚えておきましょう。同種やハナサンゴ属の近縁種では刺胞毒が通じないことが多いことから、近くに配置するならハナサンゴの仲間で統一するのがお勧めです。

リーフタンクにおける飼育のポイント

トランペットコーラルは非常に丈夫ではありますが、ショップで販売されている段階では体力が落ちているものもいます。丈夫な種類とはいえ、そういったものを選んでしまうと状態が上がらずに死んでしまう場合もあります。

いくら美しい体色を持つものであっても、健康状態が良くないものはお勧めできません。
トランペットコーラルを購入するときは以下のポイントをしっかり確認するようにしましょう。

ワックス部分がしっかり膨らんでいるものを選ぶ

トランペットコーラルを含むハナサンゴの仲間の健康状態を見るにはポリプと骨格の境目部分、通称ワックスと呼ばれる個所を確認します。

Ⓐ:栄養が不足して痩せているワックス
※画像はナガレハナサンゴのもの
Ⓑ:栄養が充分に足りている健康的なワックス

ワックス部分の骨格が目立つような薄いもの(Ⓐ)は栄養が足りていないことが多く、体力が低い状態です。ワックスがふっくらとしているもの(Ⓑ)であれば体力もあり飼いやすい状態となります。

ショップで購入するときは、この部分をよく確認して選ぶようにしましょう。

購入してからのトリートメント

ワックス部分がふっくらしたものを選べばトリートメントはほとんど必要とせず、環境が適切であれば問題なく飼育はできます。しかし、ワックス部分が痩せているものを購入してしまった場合はサンゴ用栄養剤でトリートメントを行います。

他のサンゴにもいえることですが、水槽導入直後の生存率は栄養剤によるトリートメントが非常に重要です。

サンゴ用栄養剤で基礎体力を補いましょう

サンゴ用栄養剤は必ず規定量に沿った使い方をしてください。
過剰に添加してしまうと水質の悪化や腐敗菌の増殖などを招いてしまうことがあるため、注意しましょう。

トリートメント期間はおよそ1~2週間ほどで、その間しっかりと状態を観察してください。
栄養剤によるトリートメントを行っていると、ワックス部分の共肉が少しずつ膨らんでくるようになります。
そのタイミングでより栄養価の高いリキッドフードへ切り替えましょう。

体力を付けたらリキッドフードを主食に与えます

給餌はスポイトやシリンジなどでピンポイントに与え、残り餌が極力出ないように行います。
これはトランペットコーラルが確実に栄養を摂れるための措置であるのと、同時に水を必要以上に汚さないための手法です。なるべく残り餌が出ないような給餌を行ってください。

給餌はスポイトなどを使ってピンポイントで与えます

給餌を行いながら状態が上がっていくにつれ、トランペットコーラルの共肉もよりふっくらと膨らむようになります。共肉部分がぷくぷくと弾力のある状態で膨らんでいればトランペットコーラルの状態はかなり良くなってきたと言えます。

共肉が膨らんだ健康な状態になれば給餌は1週間に1~2回程度に抑えても問題ありません。

共肉の膨らみ方をしっかりと観察しながら、時折給餌を行うことでトランペットコーラルの長期飼育は難しいものではなくなります。

トランペットコーラル まとめ

ユラユラ系と呼ばれるハナサンゴの仲間では最も飼育しやすいトランペットコーラル。
水流に揺れる触手はとても優雅で、エレガンスコーラルの名前に反しません。

ハードコーラルの仲間でも非常に飼いやすく、健康なものを選べばビギナーでも飼育は難しくはありません。
丈夫で飼いやすいだけでなく、じっくりと飼い込むことにより色揚がりも楽しめることから初心者から上級者まで幅広く楽しめるサンゴです。

水槽内に存在感のあるサンゴを導入したい方は、是非トランペットコーラルを迎えてみてください。

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