カワラフサトサカ/Kenya Tree Coral

ミドリイシのように樹木のように隆起する「ウミトサカ」というカテゴリーに位置付けられ、土台に対して立体的に共肉を伸ばし、ふわふわの綿毛のように細かいポリプを咲かせる好日性のソフトコーラルです。
水質に馴染むことができれば土台への定着も早く、比較的飼育は容易になります。

ウミトサカの仲間は、枝状に展開するため、リーフタンクでも十分に高さを活かせる位置でレイアウトを楽しむことができます。

導入後、個体をしっかり固定させてあげることが重要で、早い段階でポリプを咲かせるためには、一定方向ではなくサーキュレーターでランダムな水流を作り出すことがポイントとなります。また、ポリプを開花させ給餌させるために強めのLEDライトで光を感じさせることが必要となります。

なお、カワラフサトサカには、褐色系の個体やピンクからベージュ系、さらにはグリーン系の個体が存在し、特に目を引く蛍光グリーンの個体は人気があります。グリーンの個体の色を維持するためには高出力のタイプで特にブルー系の光を照射できるモデルが望ましく、水質は、硝酸塩、リン酸塩の値が高すぎない環境を維持することがグリーンを維持することができるコツとなります。

標準的な褐色タイプの共肉の個体。2次ポリプが開花して綿毛のような状態もなかなか美しいです。
やや流通量の多いピンク系共肉個体。うっすらグリーンが入り2次ポリプにもグリーンが入って華やか個体です。
蛍光系のライトグリーンタイプのポリプが咲き始める状態。柱状の幹に蛍光グリーンが入る個体は特に魅力的です。
全体的に蛍光グリーンの個体。ブルーのLEDライトを照射することでより一層発光して見えます。
生物学的情報
名前カワラフサトサカ
学名Capnella sp.
別名ツリーコーラル
分布西部太平洋~インド洋
グループソフトコーラル
飼育要件
飼育しやすさ★★★★☆
ポイントを押さえれば容易
入手しやすさ★★★★★
よく見かける
適正水温24℃前後
照明
60cm水槽で4500~6000lm程度
水流中~強
基本はポリプがなびく程度。ランダムにうねりを出す水流を好む。
給餌照明照射により基本は不要
ポリプを開が咲けば、プランクトンまたは液体フードを与えると良い。
備考個体を固定することでポリプを咲かせやすくなります。給餌の際は、ポリプが咲いている状態で与えてください。

リーフタンクにおける飼育のポイント

カワラフサトサカは、ウミトサカの中でも最もポピュラーな種類で飼育しやすいソフトコーラルとして知られています。他のソフトコーラルよりも伸縮と膨張をするとが多く、人が振れることで萎縮してしまうため、レイアウトを行う際は、ある程度膨張するサイズを見越して位置やスペースを想定する必要があります。

萎縮してしまった個体は、力んでいるように固くなりますが、一時的なもので形状を変えて少しづつ膨張します。適度な照明を照射し水流をランダムに流すことで緊張がほぐれて、姿勢を変えながら光に向かって枝を伸ばします。ある程度体を伸ばしてきたら、液体フードなどを飼育海水中に漂わせると、エサを感じ始めて2次ポリプを少しづつ開花させはじめます。

水槽導入直後のカワラフサトサカのケア

液体フードを少量流し、エサを感じさせてポリプを開かせるには最適です。
栄養剤を水流に流すことでポリプから吸収をしはじめます。

導入直後にポリプを一旦咲かせることがポイントなります。「ズーブラスト」のような液体フードを水流に流すことで、香りを感じサンゴの触手や小さなポリプを咲かせはじめます。続いてサンゴ用栄養剤として、「リーフエナジーAB+」を流すことで、ポリプが開いて栄養を吸収しようと活動しはじめます。活動させるために必要となる炭水化物が含まれるものが特におすすめです。

ほとんどの場合は、体を動かすための栄養を摂取することで、徐々にポリプを開く姿が見られるようになっていきます。栄養剤を吸収させられれば、段階的にポリプを開く数が増えて綿毛のようにふわふわとした状態を維持できるようになります。

環境に変化をつけてみる

栄養剤によるトリートメントを1週間~2週間ほど続けてポリプを開かないのであれば、環境要素に変化をつけて様子を見る必要があります。体力をつけたのにポリプを開かないものは「強い水流の環境を好む群体」か「光が弱い、もしくは強すぎる」というパターンが多く見られます。
浅場に生息する他のサンゴと同様に、ミドリイシが好む水流をつけることでポリプを咲かせることができる場合もあります。
個体差やコンディションにもよって反応がことなるため、水流の強弱については根気よく観察して判断してゆくようにしましょう。それでもポリプが開かない間は、栄養剤の添加も引き続き継続してください。

光に関しては「足りない」場合と「強すぎてポリプを開かない」パターンに分かれます。
蛍光グリーンのものは青い光を、蛍光色素を持たないものには白色に近い光を当てましょう。

充分な光量がある水槽では「陰になる部分にスターポリプを置いて様子を見る」のも選択肢のひとつになります。

導入直後の萎縮した状態は特に強い蛍光グリーンを感じます。
徐々に枝を伸ばしはじめ、ポリプも開こうとしています。


カワラフサトサカ まとめ

幹を伸ばしてふわふわの綿毛のようなポリプを咲かせるウミトサカの仲間です。
カラーバリエーションも豊富でベージュ系からピンク系、パステルグリーンから蛍光グリーンの個体と様々存在します。樹木のように枝を伸ばして展開するため、立体的にレイアウトを楽しむことができます。

他のソフトコーラルと同様にポリプを咲かせるまでのトリートメントが重要で、ポリプが咲けば他のサンゴの飼育の延長として育てることができます。

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