• 海水魚
  • ギンポの仲間

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  • ギンポの仲間

    リーフタンクとの相性

    ★★★★★:大変良好

    水槽内をにょろにょろと泳ぎ回り、コケを食べてくれるギンポの仲間。
    クリーナーフィッシュとして古くから知られますが、愛嬌のある顔つきと行動も魅力的で単独で飼育しても面白いグループです。
    「ヤエヤマギンポ」はその中でもコケ取り生体として、古くから根強い人気があります。

    丈夫で入手しやすく、サンゴや遊泳性の魚に悪さをすることはほとんどありません。
    ただし、同じギンポ類同士や「ハゼ」「マンダリン」などの低層魚とは競合する場合があるので、この点だけ留意しておきましょう。

    リーフタンクとの相性

    ギンポの仲間と、リーフタンクとの相性は抜群です。

    このグループはサンゴのポリプをついばむようなことはしません。
    ただし、低層や石の上を這いまわる性質を持っています。

    サンゴの上に乗ってしまうこともあり、この場合サンゴが一時的にポリプを閉ざしてしまうことがあります。
    ギンポが移動すればまたポリプは開くので、特に問題はありません。

    餌付けについて

    比較的人工飼料に餌付きやすいグループです。
    基本的に、餌付けで困ることはあまりないでしょう。

    最初から人工飼料を与えても問題なく食べてくれることが多いです。
    もし食べない個体の場合は、冷凍または活のイサザアミ(ホワイトシュリンプ)を与えると、良い結果が得られることが多いでしょう。

    万能な活餌 イサザアミ

    底生と遊泳性の2グループがいる

    アクアリウムにおいて主に流通するギンポの仲間は大きく「底生」と「遊泳性」の2グループに分けられます。
    一口にギンポといっても、両者の性質は大きく異なります。

    底生のものには藻類を好む雑食性の傾向が見られ、遊泳性のものには動物食性の強い雑食性が多く見られます。

    リーフタンクでは一般に、コケ(特に珪藻類)を食べてくれるので「底生」のクリーナー系のギンポが好まれる傾向があります。
    しかし、水槽のコンセプトによっては遊泳性の種を導入してみるのも良いでしょう。

    コケを食べるクリーナー 底生ギンポ

    「ヤエヤマギンポ」に代表される底生のギンポ。
    その多くはコケを食べる習性をもち、クリーナーとして重宝されています。
    ライブロックの表面や水槽壁面生えるコケを食べてくれるため、水槽の景観維持に役立ちます。

    マリンアクアリウムにおいて単に「ギンポ」と呼んだ場合、こちらのグループを指すことが一般的です。

    クリーナー系ギンポの代表種、ヤエヤマギンポ。

    ギンポ類の中でも、このグループは主に以下の属に該当する種が属します。
    このグループのギンポは、比較的流通が安定しています。

    • イソギンポ属(Parablennius
    • カエルウオ属(Istiblennius
    • インドカエルウオ属(Atrosalarias
    • スジギンポ属(Entomacrodus
    • タネギンポ属(Praealticus
    • ナベカ属(Omobranchus
    • ニラミギンポ属(Ecsenius
    • ハナカエルウオ属(Blenniella
    • ヤエヤマギンポ属(Salarias
    • ロウソクギンポ属(Rhabdoblennius

    クリーナー系のギンポの代表種としてはヤエヤマギンポの他に「ロウソクギンポ」「スマイリーブレニー」「フタイロカエルウオ」「モンツキカエルウオ」などが挙げられます。

    ロウソクギンポ

    スマイリーブレニー (イシガキカエルウオ)

    フタイロカエルウオ

    モンツキカエルウオ

    なお、一口にクリーナーといってもコケを食べる積極性は種によって差があります。
    例えばヤエヤマギンポ含むヤエヤマギンポ属(Salarias属)の種は比較的積極的に食べてくれますが、フタイロカエルウオ含むニラミギンポ属(Ecsenius)の種はあまり積極的に食べない傾向があります。

    単に景観維持を目的とする場合は、ヤエヤマギンポが良いでしょう。
    水槽の景観を美しく保つうえで古くから重宝されており、リーフタンクに1匹は入れておきたい魚とされています。

    ギンポの仲間は遊泳魚に対してはほとんど干渉することはないため、安心して導入できます。
    ハゼやスクーターブレニーの仲間など、行動範囲の重複する低層魚に対しては小競り合いが生じる場合があるので、この点には注意が必要です。

    特に10cmを超えるような大型個体の場合、低層魚と干渉するリスクは高くなります。
    低層魚がいる場合は、「ロウソクギンポ」や「スマイリーブレニー」など小型種を採用したほうが、トラブルが起きにくくなります。

    独特な行動が魅力な遊泳性ギンポ

    ギンポ類にはもう一つ、遊泳性のグループがあります。

    コンビクトブレニー

    こちらは中層を泳ぎ回り、コケを食べることはほとんどありません。
    遊泳性の種はコケ取り要員としてではなく、独特な泳ぎ方や行動を楽しみたいグループになります。
    ギンポ類の中でも、主に以下の属に該当する種が属します。

    • ウナギギンポ属(Xiphasia
    • エリグロギンポ属(Crossosalarias
    • クロスジギンポ属(Aspidontus
    • テンクロスジギンポ属(Plagiotremus
    • ヒゲニジギンポ属(Meiacanthus

    全体的にこのグループの流通量は多くありません。
    ほしい場合は、見かけたときが買い時といえるでしょう。

    ハナダイギンポ

    ハナダイギンポはニラミギンポ属としては珍しく、例外的に遊泳性の種です。
    ニラミギンポ属はフタイロカエルウオなど一般にクリーナー系の底生生活を送る種が多いのですが、本種は例外です。
    このように、一部の種では例外的な性質を持つものもいます。

    遊泳性ギンポの性格は、種によって大きく異なります。
    例えば「オウゴンニジギンポ」や「ハナダイギンポ」は臆病な性格をしており、これらの魚種から攻撃を仕掛けることはまずありません。
    一方で、「ニセクロスジギンポ」などは他魚に対する攻撃性を持ちます。

    オウゴンニジギンポ

    ニセクロスジギンポ

    ニセクロスジギンポは大型魚の体表をクリーニングしてくれる「ホンソメワケベラ」に擬態しながら近づき、鱗や皮膚を齧り取って食べてしまう「スケールイーター」と呼ばれる、巧妙な習性の持ち主です。

    遊泳性のギンポは他魚がいると委縮してしまうこともありますが、リーフタンクではより落ち着いて飼育が可能です。

    噛まれないように注意

    ギンポの仲間は底生・遊泳性問わず、鋭い犬歯を持っています。
    水槽のメンテナンス中に素手を嚙まれてしまうと、出血するほどの傷を負うことがあるので注意しましょう。
    手袋をしていれば基本的に問題はありません。

    また、一部の種では牙に毒を持つものもいます。
    噛まれると患部が腫れることがあるので、より一層の注意が必要です。

    とはいえ、基本的にギンポ類から積極的に攻撃することはありません。
    身の危険を感じると反撃として噛みついてくることがある程度なので、不用意に素手で触らなければ噛まれることはまずないでしょう。

    厚手の手袋をしていれば、対策としては十分です。
    過度に恐れる必要はありません。

    主なギンポ

    マリンアクアリウムにおいて、比較的流通量の多いギンポの解説は以下の記事をご確認ください。

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