ハゼから始めるサンゴ水槽入門! vol.1 なぜ”ハゼ”からはじめるの?

サンゴ水槽に憧れるけれど、いきなりサンゴから始めるのはちょっと不安。
そんな方にこそおすすめしたいのが、“ハゼから始める”という選択肢です。

この記事はサンゴ水槽の入門記事ですが、今回、サンゴはほとんど登場しません。
ですが、アクアリウムは全く未経験だけど、サンゴ水槽をはじめたい!という方には必見の内容です。

サンゴからはじめるのは、実は遠回り?

色鮮やかなサンゴが揺らぐサンゴ水槽。
美しいサンゴにあこがれてサンゴの飼育を始めようとする方は多いですが、いきなりサンゴからスタートするのは、実は“遠回り”になることがあります。

なぜなら、サンゴは見た目の美しさとは裏腹に、光量・水流・水質など、繊細な管理が求められる生き物だからです。

マメスナギンチャクやソフトコーラルなどは、サンゴの中では比較的飼育しやすい種とされています。

販売説明文に「初心者おすすめ!」「丈夫で飼育しやすい!」などの謳い文句もよく見かけます。

マメスナギンチャク
スターポリプ

(アクアリウムの経験があれば)初心者おすすめ。
丈夫で飼育しやすいサンゴたち

ですが、実はこれ。
あくまでも「アクアリウム経験者にとって」という、暗黙の前提のようなものがあるのです。

サンゴはおろか、水中の生き物を全く飼育したことがない初心者となると話は別。
サンゴの飼育に必要な知識を一度に理解し維持するのは、たとえ初心者向けとされる種であってもハードルが高く、失敗の原因にもなりかねません。

そこで失敗しにくくおすすめなのが、「まずは海水魚から始める」こと。

中でもハゼ類は、丈夫で飼育しやすく、サンゴとの相性も良好。
このため、目標となるサンゴ水槽へのステップアップに最適な魚種です。

ハタタテハゼ
ゼブラハゼ
オヨギイソハゼ
キイロサンゴハゼ

まずは魚の飼育を通じて、比重管理や水換えなどの基本的なスキルを身につけましょう。
その後にサンゴの飼育に挑戦することで、その成功率はぐっと高まります!

サンゴ水槽を本当に楽しみ、成功させるためには、焦らず、着実にステップを踏むことが大切です。

いきなりサンゴからはじめるのではなく、まずはハゼから。
この選択が、挫折せずにサンゴ水槽を作り上げるためには、実は近道かもしれません。

ハゼの魅力と、そのメリット

海水魚の中でも、ハゼは初心者からベテランまで幅広く愛される存在です。
小型で温和な性格、そしてユニークな行動が魅力のハゼは、サンゴ水槽の入門にもぴったり。

ここでは、そんなハゼの魅力と、ハゼから始めてサンゴ水槽を作り上げていくメリットを紹介します。

ハタタテハゼ
入手しやすく飼育しやすい、マリンアクアリウムにおけるハゼ系海水魚の代表種です。

丈夫で飼いやすい

多くのハゼ類は水質変化に比較的強く、初心者でも安心して飼育できます。
海水魚の代表といえばカクレクマノミが挙げられますが、クマノミ以上に丈夫で飼育しやすい種が多く、とにかく失敗しにくいことが魅力です。

小型水槽でもOK

多くのハゼ類は小型種が多く、30cmクラスの水槽でも飼育可能です。
後からサンゴ水槽へと改装する前提でも、サンゴの種類を選べば引き続き飼育を楽しめます。

サンゴとの相性が良い

多くのハゼ類はサンゴを荒らさず、混泳に向いています。
特にハタタテハゼやオヨギイソハゼなどの遊泳性のハゼ類はとりわけサンゴと相性が良く最適な組み合わせの一つとされています。

なお、ハゼの仲間は大変種類が多く、サンゴとの共存には工夫を必要とする種も一部います。
しかしそれらの種であっても、レイアウトロックやサンゴの配置を工夫することで、熱帯性の種であればほぼすべての種がサンゴと共存可能です。

給餌が簡単

海水魚の飼育において、意外とネックになりやすいのが餌付けの問題です。
ほとんどの海水魚は、金魚やメダカのように与えればすぐに餌を食べてくれるということは少なく、人工飼料をまず餌と認識するように、根気よく「餌付け」という工程をこなす必要があるものが多いです。

しかしながら、ハゼの仲間に関しては、多くの種でそこまで根気強い餌付けを必要としません。
多くの個体が、比較的早い段階で人工飼料にもよく慣れます。
このため、一般的な海水魚の飼育ではハードルになりがちな、「餌付け」の工程を高確率でスキップできるのも魅力です。

価格が手頃

ハゼの仲間は多くの種が、比較的安価で入手可能である点もうれしいところです。
流通量も多く、「ハタタテハゼ」「アオギハゼ」「オヨギイソハゼ」などは比較的入手しやすい種類です。

海水魚では1匹数千円を超えるような種も珍しくありませんが、ポピュラーなハゼ類であれば1匹当たり¥2000以下で購入できるものも多いでしょう。

種類が豊富

ハゼの仲間は世界中に約2000種近く知られており、海産魚類としては実は最も種数が多いグループです。
クマノミやヤッコ、スズメダイなどの人気のグループよりも、はるかに多い種数が知られています。

色や模様、行動にはそれぞれ個性があり、選ぶ楽しみもハゼの魅力です。

コンスタントな入荷がない珍しい種類であっても、価格は比較的手ごろであることが多く、気軽にチャレンジできるのもうれしいところです。

具体的なおすすめの種類については、次回まとめて解説します!

ろ過が安定しやすい

本命のサンゴを入れる前にハゼだけで水槽を稼働しておくと、水質がより安定しやすくなります。
ハゼを先に入れておくことで、魚の排せつ物を分解するバクテリアが水槽内に定着しやすくなります。
これにより、後からサンゴを入れたときにも水質が安定しやすくなるのです。

細かい理由については今後解説しますが、いきなりサンゴからはじめるよりも格段に飼育しやすくなる、ということを今は覚えておいてください。

成功体験を得やすい

丈夫で飼育しやすく、小型水槽でも飼育可能で、価格も手ごろで、餌付けにも手間がかからないということは、つまり飼育が安定しやすいということになります。

海水魚の中でもとりわけ飼育しやすく、手間がかかりにくい魚種なので、成功体験を得やすく失敗しにくいという点が大きなメリットです。

サンゴ水槽を目指したものの、頓挫してしまう理由の多くは、魚やサンゴの死亡による飼育の失敗です。
ハゼ類の飼育であればサンゴやその他の魚種に比べ失敗する確率が低く、長期飼育しやすいです。

飼育に成功することは自信につながり、次のステップとしてサンゴ飼育への挑戦を後押しするでしょう!


まとめ

サンゴ水槽に憧れて、ゼロからアクアリウムを始めようとする方にとって、サンゴを目標にしているのに「まずハゼから始める」という選択は、一見すると遠回りに思えるかもしれません。

しかし実際には、これは最短かつ最も確実なルートと言えます。

ハゼは、海水魚の中でも特に丈夫で飼育しやすく、初心者でも失敗しにくい魚種です。
小型水槽でも飼育可能で、価格も手頃。人工飼料への餌付きも良く、飼育のハードルが非常に低いのが特徴です。
さらに、サンゴとの相性も良く、後からサンゴ水槽へと発展させる際にもトラブルが少ないという点で、まさに「サンゴ水槽の土台」として理想的な存在です。

また、ハゼを先に導入しておくことで、ろ過バクテリアが定着しやすくなり、水質が安定しやすくなります。
これは、サンゴを迎える際の大きなアドバンテージとなります。
この点でいきなりサンゴから始めてしまうと、水質の不安定さや管理の難しさから失敗しやすく、挫折の原因にもなりかねません。

ハゼの飼育を通じて、比重管理、水換え、給餌、水温管理といったマリンアクアリウムの基本的なスキルを自然に身につけることができます。
そして何より、飼育がうまくいくことで「自分にもできる」という成功体験を得られることが、次のステップであるサンゴ飼育への大きな自信につながります。

サンゴ水槽は、焦らず、段階を踏んで育てていくものです。
まずはハゼから始めて、じっくりと水槽環境を整え、確実にステップアップしていきましょう。

キイロサンゴハゼ
ミドリイシの上で休んでいます。
飼育に慣れてきたら、このような光景の実現を目指してみましょう!

次回は、おすすめのハゼの種類を具体的に紹介します。
色彩や性格、飼育のしやすさなどを比較しながら、あなたにぴったりの“最初の一匹”を見つけましょう!

Dab.O.Haze

Dab.O.Haze(ダブ・オー・ヘイズ) 「霞のように謎に包まれた海の世界に、ちょっと触れてみよう」── 海水水槽の第一歩を丁寧にご案内。ハゼ系が得意。

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