ハゼから始めるサンゴ水槽入門! vol.2 おすすめのハゼ5選

サンゴ水槽に憧れるけれど、いきなりサンゴから始めるのはちょっと不安。
そんな方にこそおすすめしたいのが、“ハゼから始める”という選択肢です。

この記事はサンゴ水槽の立ち上げを目指す入門記事ですが、サンゴはほとんど登場しません。
ですが、アクアリウムは全く未経験だけど、サンゴ水槽をはじめたい!という方には必見の内容です。

最初の一匹を見つけよう

前回の記事では、「なぜハゼから始めるのがサンゴ水槽への近道なのか?」を解説しました。

今回はその続編として、初心者におすすめのハゼの種類を5種、紹介します。

ハゼと一口に言っても、その種類は非常に多く、性格や行動は実にさまざま。
その中からサンゴ水槽にとりわけなじみやすい、基本的な種類を知っておきましょう。

 初心者におすすめのハゼ5選

比較的流通量が多く、入手しやすいハゼの仲間をピックアップして紹介します。
そのうえサンゴとの相性も良く、初めてでも飼育しやすい魚種を選定しました。

ハタタテハゼ

学名Nemateleotris magnifica
グループ 遊泳性ハゼ
よく見かけるサイズ約4〜6cm(最大7cm程度)
性格温和
エサ人工飼料(顆粒・フレーク)
ブラインシュリンプ、ホワイトシュリンプ(冷凍飼料・生餌ともに可)
特徴遊泳性のハゼとしては最も一般的な種類で、著しく伸長する背ビレが特徴的な種類です。
白からオレンジのグラデーションと、頭部の鮮やかなイエローも魅力です。
ハゼの仲間ですが、一般的なハゼ類とは異なり本種は低層を這うような行動は見せません。
ライブロックやサンゴの周りをホバリングするように泳ぎ回ります。

ゼブラハゼ

学名Ptereleotris zebra
グループ 遊泳性ハゼ
よく見かけるサイズ約4〜7cm(最大15cm)
性格温和
エサ人工飼料(顆粒・フレーク)
ブラインシュリンプ、ホワイトシュリンプ(冷凍飼料・生餌ともに可)
特徴淡い緑色をベースにオレンジのストライプが入る魅力的な遊泳魚です。
ハタタテハゼに比べより活発に泳ぎ回りますが、若干臆病な傾向があります。

クロユリハゼ

学名Ptereleotris evides
グループ 遊泳性ハゼ
よく見かけるサイズ約4〜6cm(最大12cm)
性格温和・やや臆病
エサ人工飼料(顆粒・フレーク)
ブラインシュリンプ、ホワイトシュリンプ(冷凍飼料・生餌ともに可)
特徴青~黒を基調としたシックな色彩を持つ人気種です。
ハタタテハゼ同様、ライブロックやサンゴの周りをホバリングするように泳ぎ回ります。
若干臆病な傾向があります。

ネオンゴビー

学名Elacatinus oceanops
グループ 遊泳性ハゼ
よく見かけるサイズ約3〜4cm(最大5cm)
性格温和
エサ人工飼料(小粒顆粒・フレーク)
ブラインシュリンプ、ホワイトシュリンプ(冷凍飼料・生餌ともに可)
特徴 青いラインが目を引く小型種です。
ライブロックやサンゴの周りをホバリングするように泳ぎ回ります。
最大でも5cm程度にしか成長しないため、小型水槽にもおすすめです。

オヨギイソハゼ

学名Bryaninops natans
グループ 遊泳性ハゼ/超小型ハゼ
よく見かけるサイズ約2〜3cm(最大3cm)
性格温和
エサ人工飼料(小粒顆粒)※特に小粒のものを選びます。
ブラインシュリンプ、ホワイトシュリンプ(冷凍飼料・生餌ともに可)
特徴 透明な体に赤いラインが入り、サンゴの周りを群れでホバリングしながら生活しています。
非常に小型で、3匹以上の群れでの飼育が推奨されます。

この5種はいずれも初心者にとって飼育しやすく、将来サンゴ水槽へのステップアップを見据えた際に最適です。

ハゼなのに泳ぎ回る?

一般的に「ハゼ」と聞くと、底砂の上にじっとしている底生魚を思い浮かべる方が多いかもしれません。
実際、自然界におけるハゼの大多数は底棲で、砂底や岩陰に身を潜めるような生活スタイルを持っています。

マハゼ。スタンダードなハゼといえば、一般的にはこのスタイルです。

もちろんマリンアクアリウムにおいて流通するハゼの中にも、このようなスタンダードな底生生活を送る種は、当然多く見られます。

ギンガハゼ
テッポウエビと共生する習性が有名。
オトメハゼ
底砂内の有機物を食べ、掃除する習性が有名。

しかし、サンゴ水槽においては先述したハタタテハゼのような中層を泳ぐ「遊泳性ハゼ」こそが定番であり、最適な選択肢といえます。その理由は大きく2つあります。

まず第一に、サンゴとの物理的干渉が少ないこと。
底棲性のハゼは巣穴を掘ったり、砂を巻き上げたりする行動が多く、サンゴの配置や水質に影響を与えることがあります。

例えばギンガハゼは、テッポウエビと共生する興味深い習性を持ち、テッポウエビの力を借りて巣穴を掘ります。
ですがこれによりサンゴが埋め立てられてしまうリスクがあり、共存していくにはサンゴの配置に工夫が必要です。

オトメハゼは底砂内部の残餌を積極的に食べて掃除するため、魚中心の水槽では底砂の掃除役として重宝されます。
しかし、サンゴ水槽では砂を吐き出す性質が災いし、サンゴに砂を吐き掛けて弱らせてしまうリスクがあります。

これらと比較して、遊泳性のハゼは中層を自由に泳ぎ回ります。
サンゴに直接触れる機会が少なく、レイアウトを乱す心配がほとんどありません。

第二に、水槽全体の立体感と動きが生まれるという点です。
サンゴ水槽はどうしても下部に視線が集中しがちですが、遊泳性のハゼを導入することで、水槽の中層〜上層にも動きが加わり、より自然で美しい景観を演出できます。

このような理由から、初心者向けとして紹介したハゼは、あえて遊泳性の種を中心に選定しています。
サンゴ水槽を作り上げるための第一歩として、見た目にも美しく、飼育も安定しやすい遊泳性ハゼは、まさにサンゴ水槽における理想的なパートナーなのです。


まとめ

サンゴの飼育は、水槽管理を全く未経験の方にとっては、全体的に難易度が高いといえます。
なので、焦らずまずは相性の良い魚からはじめると挫折しにくくおすすめです。

特にハゼの仲間は比較的失敗しづらく、日々の管理を通して基本的な管理方法と知識を身に着けることができます。

ハゼの仲間には様々な種が流通していますが、将来的にサンゴ水槽へのステップアップを踏まえると、特に以下の魚種がおすすめです。

  • ハタタテハゼ:白とオレンジのグラデーション、すらりと伸びる背ビレが魅力的。
  • ゼブラハゼ:淡いグリーンとオレンジの縞模様。活発に泳ぎ回ります。
  • クロユリハゼ:シックな色合いを持ち、落ち着いた印象が魅力的です。
  • ネオンゴビー:小型で青く輝くラインが特徴。小型水槽にも最適です。
  • オヨギイソハゼ:赤く透明感のある体色が魅力的な超小型種。群れでの飼育が推奨されます。

これらのハゼは中層を泳ぐため、サンゴに物理的な干渉が少なく、レイアウトを乱しにくいという利点があります。
しかもいずれも流通量が多く、比較的入手もしやすいです。

サンゴ水槽の第一歩として、これらの遊泳性ハゼは好条件が揃っており、理想的な選択肢です。


次回は、マリンアクアリウムにおけるハゼの仲間の主要なグループ分けについて紹介します。
基本的にはここで取り上げた5種から選ぶと失敗が少ないですが、より個性的なハゼを選びたい!という方もいるでしょう。

そのような方に向けてグループごとの飼育のポイントを簡潔にまとめた、やさしい解説をお送りします。

Dab.O.Haze

Dab.O.Haze(ダブ・オー・ヘイズ) 「霞のように謎に包まれた海の世界に、ちょっと触れてみよう」── 海水水槽の第一歩を丁寧にご案内。ハゼ系が得意。

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