ロクセンスズメダイ リーフタンクにおける飼い方の基本

ロクセンスズメダイはリーフタンクとも相性の良い遊泳性のスズメダイの仲間です。
青灰色をベースとした全身に黒い帯が入り、尾鰭の上下に黒いラインが入ります。
日本近海にも広く分布しており、特に九州南部、沖縄方面ではよく見られる魚種です。

いかにも熱帯の海の魚といった見た目をしており、観賞魚としても人気の高い種ですが、スズメダイの仲間の例に漏れず水槽内での気性は荒めです。攻撃性が高く、同程度のサイズの他魚との混泳は不向きです。

姿はオヤビッチャによく似ていますが、最大サイズは約15~17cmほどとひと回り小ぶりに留まることが多いです。
それでも飼育にあたっては中型魚を飼育できる設備が必要です。

一方で、サンゴのポリプにいたずらすることはほとんどありません。
大型水槽でのリーフタンクに泳がせるには向いた魚といえます。

エサに関しても人工飼料に餌付きやすく、餌付けに苦労することはほとんどないでしょう。

オヤビッチャとよく似ているため比較されることが多い魚種ですが、主に以下の2点が異なります。

外観:オヤビッチャよりも青みが強く、黄色みが弱くなります。
尾鰭の上下が黒く染まることで識別可能ですが、幼魚ではこのラインがまだ細く、区別しづらいこともあります。

ロクセンスズメダイ幼魚
背ビレ付近の黄色はあまり目立ちません
オヤビッチャ幼魚
背ビレ付近に黄色が広く入ります

アクアリウムルートで流通する個体はほとんどが幼魚なので、このサイズだとまだ区別しづらいこともあります。
また、オヤビッチャに比べると流通量は少なめです。

成長するにしたがって背ビレ付近に黄色が強く出るオヤビッチャに対して、ロクセンスズメダイは黄色がほとんど消えて全体的に青みがかった体色になります。

分布:オヤビッチャ同様千葉県以南の太平洋側から分布しますが、より南方に多く分布する傾向があります。
本州ではオヤビッチャのほうが多くみられることが多いのですが、沖縄方面ではロクセンスズメダイのほうが多くみられることが多いです。両種が入り混じって群れることもあります。

オヤビッチャ(左)とロクセンスズメダイ(右)成魚の比較
ロクセンスズメダイは尾鰭の上下にある黒いラインと体色の違いにより、オヤビッチャとは容易に識別可能です。

基本情報

ロクセンスズメダイの若い成魚
オヤビッチャに比べて黄色くならず、青みが強く爽やかな印象の体色になります
生物学的情報
名前ロクセンスズメダイ
別名シザーステール・サージェント
(※ハサミのような尾の軍曹、の意)
学名Abudefduf sexfasciatus
分布日本近海、中~西部太平洋
食性雑食
グループスズメダイ
飼育要件
飼育しやすさ★★★★★
とても容易
入手しやすさ★★☆☆☆
やや珍しい
餌付けしやすさ★★★★★
とても容易
混泳適正★☆☆☆☆
混泳不可
最大体長17cm程度
適正水温24℃前後

リーフタンクにおける飼育のポイント

飼育についてのポイントもオヤビッチャとほとんど変わりません。

サンゴが健康的に育成できている環境であれば、本種は問題なく飼育できるでしょう。
相性の悪いサンゴも特にありません。

流通している海水魚の中では、最も飼育が容易な部類に入ります。
人工飼料にもすぐに餌付きやすく、飼育に関して苦労する要素はほとんどありません。

一点だけ注意点を挙げるのであれば、小型水槽での飼育は向いていないこと。
終生飼育を考えると最低でも60×45×45cm水槽以上でのリーフタンク向きとなります。

他魚種との混泳について

スズメダイの仲間は一般に攻撃的です。
本種は基本的に混泳は不可と考えたほうが良いでしょう。
同程度のサイズの他魚に対しては、縄張りから排除しようと積極的に攻撃します。

水量に余裕のあるリーフタンクでは、複数匹入れると群れになって泳ぎます。
ロクセンスズメダイもサンゴ礁の隙間を群れで暮らす魚ですが、狭い水槽で少数を同居させてしまうと激しくケンカしてしまいます。

混泳させるには弱い個体が隠れられるシェルターと、ターゲットが1匹に集中しないように多数を混泳させることが必要です。また、成長すると体長20cm近くになることから複数飼育するなら120cm以上の大型水槽が推奨です。

リーフタンクで飼育すると本来の生態を再現できるため、より調子よく飼育できます。
大型水槽で魚はロクセンスズメダイのみを十数匹程度泳がせると、本種の魅力を最大限に引き出せるかと思います。

ロクセンスズメダイとオヤビッチャが混じる群れの様子
充分にスペースが取れる大型水槽であればオヤビッチャとの混泳もおもしろいかもしれません

近所で見つけられるかも?

ロクセンスズメダイは日本近海にも分布しています。
オヤビッチャが見られる地域であれば、オヤビッチャに混じって見られることもあります。

本州ではオヤビッチャに比べると少なくなりますが、特に九州南部から沖縄県にかけては普通種です。
少し海辺に出かけると見つけられるかもしれません。
タイドプール(潮だまり)などで幼魚が泳ぐ姿もよく見られます。

ロクセンスズメダイ まとめ

ロクセンスズメダイはその美しい見た目と活発な性格から、リーフタンクにも向いた魚種です。
また特に九州南部~沖縄にかけては身近な魚でもあり、シュノーケリングでも遭遇しやすく親しまれている魚です。水槽内での存在感も抜群で、海水魚全体を見渡しても最も飼育が容易な部類に入ります。

スズメダイの仲間は一般的に攻撃的な性質を持ち、本種はその代表的な存在です。
基本的に協調性はなく、他魚との混泳は全く不向きです。

サンゴのポリプにいたずらすることはないので、リーフタンクとの相性は良い魚です。
元来サンゴ礁の隙間に群れで生息する魚なので、むしろリーフタンクで飼育したほうがより調子よく飼育できます。

流通する個体や、タイドプールなどで4cm前後の幼魚がよく見られますが、本種はスズメダイとしてはやや大型の部類に入ります。オヤビッチャに比べると一回り小さく17cm程とされますが、水槽飼育するにあたってはほぼ同サイズと見てよいでしょう。

終生飼育を想定すると水槽サイズは最低でも60×45×45cm水槽を見込んでおきたいところです。

狭い水槽だとすぐにケンカしてしまうため単独飼育推奨ですが、群れを楽しみたいのであれば120cm以上の大型水槽で複数飼育するのが望ましいです。

ロクセンスズメダイもオヤビッチャ同様に、しっかりと飼い込むことで魅力たっぷりな姿を見せてくれるでしょう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP