カニハゼはポイントを抑えれば、リーフタンクとも比較的相性の良いベントス食性ハゼの仲間です。
背ビレに入る2つのスポットと、独特の動きがカニのように見えるためこの名がつけられました。
尻ビレにも水色のスポットが入り、複雑な色彩が魅力的な小型のハゼです。
ハゼの仲間としては、飼育の際にいくつかの注意が必要な部類に入ります。
流通量は多いものの、飼育や餌付け、混泳に関しては例外的な要素を多く持つ魚種となります。
本種ベントス食性が強く、ミズタマハゼとマンダリンの中間のような食性と考えておくと良いでしょう。
一般的なハゼ類に比べると多少神経質である点も、マンダリン寄りの性質となります。
ベントス食性のハゼ共通の性質として目の細かい砂底を好み、砂に潜ることがあります。
砂を口に含んでサンゴに吐き掛けることがあるので、この点でサンゴの配置に注意が必要です。
ただし、本種はミズタマハゼやオトメハゼほど大きくなりません。
最大でも6cm程度となるため、サンゴの配置を工夫をすれば共存は可能です。
基本情報
生物学的情報 | |
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名前 | カニハゼ |
別名 | シグナルゴビー、ツインスポットゴビー |
学名 | Signigobius biocellatus |
分布 | フィリピン以南の太平洋西部 |
食性 | 微小生物、プランクトン、人工飼料 |
グループ | ベントス食性ハゼ |
飼育要件 | |
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飼育しやすさ | ★★☆☆☆ やや難しい |
入手しやすさ | ★★★★☆ まずまず見かける |
餌付けしやすさ | ★★☆☆☆ やや難しい |
混泳適正 | ★★☆☆☆ やや難しい |
最大体長 | 6cm程度 |
推奨水槽サイズ | 30キューブ |
適正水温 | 24℃前後 |
リーフタンクにおける飼育のポイント
サンゴが健康的に育成できている環境であれば、水質に関しては本種は問題なく飼育できるでしょう。
ただし、ハゼ類としては例外的に餌付けにやや苦労するため、この点に注意が必要です。
慣れれば人工飼料も食べますが、あまり積極的には食べてくれない傾向があります。
このため他のハゼと同じ感覚で飼育していると、いつの間にか痩せ細ってしまうこともよくあるようです。
個体に寄りますが人工飼料にはすぐに餌付きにくい傾向があるため、最初のうちは冷凍コペポーダを与えると良い結果が得られやすいです。
底床内に微生物が発生する環境のほうが飼育しやすく、この点ではリーフタンクでの飼育は向いているといえます。
とはいえ、底床内に発生する微生物だけではエサが不足するので、給餌は必要です。
マンダリンほど神経質ではありませんが、ハゼの中ではマンダリン寄りの性質を持っている、と捉えておくと良いでしょう。
本種はベントス食性のハゼであり、そのグループの例に漏れず水槽の底砂を食む性質があります。
小型なので吐き出される砂の量は多くはありませんが、これをサンゴに吐き掛けられるとサンゴが弱ってしまうことがあります。
このため、底砂付近にはサンゴを配置しないようにしましょう。
ライブロックなどを用い高めの位置に配置しておくことで、砂を掛けられてしまう問題は回避できます。
他魚種との混泳について
ハゼの仲間としては例外的に、混泳に関しても注意点の多い魚種となります。
本種の混泳相性はハゼよりも、むしろマンダリンに近い性質があります。
本種よりも大きい魚や、気が荒い魚、甲殻類との混泳は適していません。
本種より小さい魚に対しては、ハゼの仲間ではあるので小競り合いを起こすことがあります。
温和であっても本種よりも大きな遊泳魚との相性は悪く、低層魚は本種より大きければ本種が負け、本種より小さいければ本種が攻撃してしまう可能性があります。
このため、混泳可能な候補は意外と絞られてしまいます。
中層を遊泳し、最大サイズが6cm前後となる小型魚が比較的安全な組み合わせといえるでしょう。
最大でも6cm程度にしか成長しないので、30cmキューブ水槽でも終生飼育が可能です。
カニハゼ まとめ
カニハゼは背ビレの二つのスポットが特徴的な小型のベントス食性ハゼです。
ヒレを広げて泳ぐ姿がカニのように見えるためこのように名づけられました。
本種の泳ぎ方はなかなかに独特で、一見の価値ありです。
一般的には飼育が容易な種が多いハゼの仲間としては例外的に、本種の飼育はひとクセある部類に入ります。
流通量は比較的多く入手しやすい種類となりますが、一般的なハゼに比べてやや餌付きにくいことと、神経質な性格をしていることの2点に留意しましょう。
最初に与えるエサは冷凍コペポーダがおすすめです。
本種の性質はハゼでありながら、マンダリンにも近い部分があります。
マンダリンをはじめとしたスクーターブレニー系魚種の飼育経験があれば、それを本種の飼育に活かすこともできるでしょう。
ベントス食性のハゼですが、小型なので吐き出す砂の量は多くありません。
サンゴの配置に気を付ければ、共存は可能です。
底砂付近に置くと砂を吐き掛けられて埋め立てられてしまうことがあるので、なるべく高い位置に配置しましょう。
カニハゼから見れば、リーフタンクは微生物が発生しやすい環境であるため、一般的な魚だけの水槽よりも飼育しやすい環境となります。
いくつかのポイントを抑えれば、リーフタンクとの相性は良い魚です。
ぜひ、お手持ちのリーフタンクに追加してみてください。
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