ウミキノコ/Toadstool Leathers

温暖な海域に生息するウミトサカのなかでも特異な形状をしているのがウミキノコで、その名前の通り陸上に生息する「キノコ」のような形をしています。比較的丈夫でやや高温水域でも生きていられることが知られており、ソフトコーラルの中ではライトスペックな機材でも飼育ができる種類で入門種としても人気があります。
本体となる部分は、キノコのエリンギに近い形状で、キノコの傘に値する部分からポリプが伸びる構造になっています。このポリプは、傘部分から生える「1次ポリプ」とさらに1次ポリプから触手を伸ばす「2次ポリプ」があり、硝酸塩やリン酸の値が高いような環境化、さらには高水温飼育下ではなかなか開花せず、安定した水質をキープしないことには2次ポリプは開いてくれないことがあります。

2次ポリプまで開かなくてもある程度の光量で飼育していう上では維持はできますが、満開にポリプを開かせることで栄養を吸収することができ成長ができ長期飼育に期待できます。

一言でウミキノコといっても実は、バリエーションが多くあり、広くは海外などでは「マッシュルームコーラル」として総称して呼ばれるものの、厳密には傘の形状が異なるもの、ポリプの短いものや長いもの、さらにはカラーバリエーションとして褐色系からイエロー系、蛍光グリーンの個体も存在します。

一般的には1次ポリプの長さによって異なり、短いタイプを「ショートポリプ」、長いタイプを「ロングポリプ」として細分化ができ、さらに2次ポリプの触手が長くタンポポの綿毛のようなふわふわとしたポリプの「フラワーポリプ」などが存在します。

標準的な褐色タイプの個体で1次ポリプは短いショートポリプタイプ。さらに2次ポリプが開きます。
ベージュ色の個体も存在し、1次ポリプはロングポリプのフラワーポリプ個体。
ウミキノコ全体が蛍光グリーンタイプの個体。本体の地もポリプ全体に蛍光グリーンが入ります。
本体自体はライトグリーンでポリプは蛍光グリーンの個体。鉄分の多い水質や照明設定によってさらに色上りにも期待ができます。
生物学的情報
名前ウミキノコ
学名Sarcophyton sp.
別名マッシュルームコーラル
分布西部太平洋
グループソフトコーラル
飼育要件
飼育しやすさ★★★★☆
ポイントを押さえれば容易
入手しやすさ★★★★★
よく見かける
適正水温24℃前後
照明
60cm水槽で4500~6000lm程度
水流中~強
基本はポリプがなびく程度。ランダムにうねりを出す水流を好む。
給餌照明照射により基本は不要
ポリプを開が咲けば、プランクトンまたは液体フードを与えると良い。
備考個体を固定することでポリプを咲かせやすくなります。給餌の際は、ポリプが咲いている状態で与えてください。

リーフタンクにおける飼育のポイント

ウミキノコは、他のサンゴに比べて色合い的に華やかさは劣りますが、大きく展開する形状や満開に咲いた時のふわふわ感が一番の魅力で、リーフタンクでは存在感のある脇役として欠かせない種類です。

また、刺胞毒はそれほど強くはありませんが、傘部分が大きな個体で2次ポリプまでふわふわと開いている状態では、カクレクマノミの幼魚などはイソギンチャクのように隠れ蓑として入り込む様子を見ることがあります。

他のサンゴと同様に十分なLED照明による光源と水質の安定性、ランダムな水流で維持することで、2次ポリプの開花に期待できます。液体フードやミネラル添加剤などを飼育海水中に漂わせてポリプに向けて流してあげるとポリプでエサを捕まえて閉じるような仕草も観察することができます。

水槽導入直後のウミキノコのケア

ミネラル豊富な人工海水で水替えをするとポリプを咲かせやすくなります。
適用量の添加でリーフタンクの石灰藻も生き生き。ポリプが吸収する栄養添加におすすめです。

ウミキノコの仲間は、綿毛のようなポリプを咲かせることで、より一層魅力的なサンゴとして鑑賞性が高まります。昨今のリーフタンク環境では「ポリプを咲かせる」というのは決して難しいことではないかもしれません。そこで「満開」を維持させるステップアップに必要なのがミネラルの供給です。塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、燐酸水素ナトリウムなどを飼育海水中に漂わすことがポイントとなります。

同一環境で飼育する他のサンゴにも栄養を供給することができ、綿毛のようにふわふわとしたポリプの開花に期待できます。

共肉を培養してみる

ソフトコーラルの多くは、共肉を切断することで培養することができます。美しい個体を切断してプラグに接着させて大きく成長させてゆきます。他のサンゴに比べて再生力も早く、フラグプラグの製作を始めてみたい方にはウミキノコはおすすめです。

これにより優良個体を増殖させ、リーフタンクの彩りを豊かにさせてゆくことができます。蛍光グリーンの個体も培養により、同様の色合いを再現させることができます。キノコの傘の部分を培養することでポリプが咲いて徐々に茎状の軸となる部分が形成されて「ウミキノコ」の形に成長します。

全体的に蛍光グリーンの個体をプラグに貼り付けてから成長が進み、満遍なく円形の共肉を形成しています。

ポリプが咲くくらいに成長していますが、本体が円形に形成され、徐々に柱となる軸部分が隆起するようになりキノコの形状を形成してゆきます。

ウミキノコ まとめ

カラーもイエローから褐色、グリーンのものなどさまざまなバリエーションが存在します。ウミキノコの最大の魅力はふわふわと咲くポリプの群生です。ミネラルが豊富な飼育海水を維持することでふわふわなポリプを楽しむことができます。

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