サンゴ用の栄養剤もさまざまな製品が出ており、使い方も含有されている成分により変わります。
サンゴ用添加剤は微量元素剤や水質調整剤などが主に重要視されていますが、実は栄養剤もサンゴ飼育にとっては重要なアイテムなのです。
サンゴ用の栄養剤は弱ったサンゴのトリートメントや、褐虫藻からの供給分だけでは賄いきれない栄養を供給することができます。また、長期飼育が難しいとされていたサンゴも栄養剤を上手く使うことで健康に飼育することができるようにもなりました。
サンゴの飼育が上手い方は実は栄養剤の使い方も上手かったりもします。
今回はそんな隠れたお役立ちアイテムである、サンゴ用栄養剤について解説していきます。
サンゴ用栄養剤に配合されている4種の栄養素
サンゴ用栄養剤には主にビタミン、アミノ酸、糖類、不飽和脂肪酸の4グループの栄養が中心に配合されています。
おおまかに説明すると、ビタミン、アミノ酸は主にサンゴの体組織を作るための材料として。
糖類と不飽和脂肪酸は体を動かすエネルギー供給および、細胞など体組織の原料として使われます。
各メーカーごとに配合は違いますが、基本的にはこの4グループの栄養素を組み合わせて用途に合わせたレシピで作られています。
サンゴ用の栄養剤を選ぶときは、目的に応じて配合されている栄養素を確認して使用しましょう。
※それぞれの栄養素の詳しい働きについては別記事で解説予定です。
サンゴ用栄養剤ラインナップ
サンゴ用栄養剤の基本要素4種を把握したら、目的別に選んで使用しましょう。
主な用途としては「水槽導入時や弱ったときの体力回復用(トリートメントタイプ)」と「成長を促進させる増体用(ブースタータイプ)」として使い分けることができます。
本記事では、その2種類の用途に絞って紹介します。
トリートメント(体力回復)に向いた栄養剤
トリートメント向きと紹介していますが、先述の4種の栄養をバランスよく含んでおり用途を問わずに使用できる栄養剤です。
トリートメント向きの項目に入れたのはエネルギー源となる糖類が配合されているためで、これが弱ったサンゴの体力を回復させるにはとても重要です。糖類で体を動かすエネルギーを供給し、ビタミン、アミノ酸、不飽和脂肪酸などで体組織の修復を促進させるという役割で使用することができます。
いわばオールラウンドタイプとも呼べる栄養剤で、人間で例えるなら点滴としても使用できる総合的な栄養剤といえます。どれを選ぶか迷ったときはこのカテゴリの栄養剤がおすすめです。
商品名 | レッドシー「リーフエナジーAB+」 |
栄養構成 | 4種類の炭水化物、ビタミンCを含む必須ビタミン類、 遊離アミノ酸(DFAA)、不飽和脂肪酸(HUFA、PUFA) ※栄養構成はメーカー表記を参照しています。 |
栄養構成から見た特徴 | バランスの取れた栄養剤で、ビギナーでも使いやすい配合になっています。 |
栄養構成から見た用途 | トリートメントから色揚げまで幅広く対応可能 |
商品名 | グローテック「VitAmino M」 |
栄養構成 | グルコース(炭水化物)、12種類のビタミン、20種類のアミノ酸 ※栄養構成はメーカー表記を参照しています。 |
栄養構成から見た特徴 | 貧栄養のSPS水槽、特にミドリイシに向いた栄養構成となっています。 |
栄養構成から見た用途 | SPS水槽の栄養補給におすすめ |
共肉の増体(成長促進、色揚げ)向き
こちらは配合されている栄養素に糖類が含まれていないもので、主にアミノ酸や不飽和脂肪酸が特に強化されているタイプです。こちらはオールラウンドに使える前者と比較して、共肉などの体組織を発達させる栄養素が強化されています。
人間で例えるならば、まさに増体用のプロテインに近い用途で使うことができます。
弱ったサンゴを回復させるというよりも、基礎体力が整ったサンゴの成長促進、共肉の増体、色揚げなどの用途に向いたブースターと呼べる栄養構成の栄養剤となります。
サンゴはポリプを開いて元気なように見えても、なかなか共肉が大きく育ってくれないという場合はこちらのタイプの栄養剤が有効かもしれません。
商品名 | FAUNA MARINE「AMIN」 |
栄養構成 | 14種のアミノ酸、2種のアミノスルホン酸(タウリン)、 アミノ酸合成に必要な有機炭素化合物 ※栄養構成はメーカー表記を参照しています。 |
栄養構成から見た特徴 | アミノ酸を中心としたサンゴのタンパク質合成を助ける構成。 |
栄養構成から見た用途 | サンゴ(SPS、LPS、ソフト)の共肉の増体や、色揚げ向き |
商品名 | Polyp Lab「ポリプブースター」 |
栄養構成 | 18種類のアミノ酸 、12種類の脂肪酸 ※栄養構成はメーカー表記を参照しています。 |
栄養構成から見た特徴 | アミノ酸と不飽和脂肪酸が強化配合され、共肉の増体と色揚げに向いた構成。 |
栄養構成から見た用途 | ソフトコーラル(マメスナギンチャクやディスクコーラル)、イソギンチャク、LPSの成長促進 |
まとめ
サンゴの栄養剤は従来あまり重要視されていなかった要素ではありますが、サンゴの体力を整える用途としては非常に有用なアイテムです。サンゴの飼育を長期間に渡って楽しむためには「サンゴがしっかりと栄養を摂れているか」が重要です。
サンゴ用栄養剤も製品別に栄養構成が変わることから、上手く活用するには配合されている栄養素の種類を把握する必要があります。
サンゴの状態をしっかりと見分け、レシピ別に栄養剤を使い分けることで、より健康的なサンゴの姿を見ることができるようになるかと思います。
コメント