リーフタンクに使える接着剤

マルコロックやライブロックレプリカ、そしてフラグサンゴを繋ぎ合わせるには接着剤が必要です。
今回はリーフタンクに使用できる接着剤について解説していきます。

ゲル状(シアノアクリレート系)接着剤

主成分シアノアクリレート
特徴・生体に無害
・硬化速度が極めて速い
・水中硬化が可能
向いている用途・フラグサンゴや小物の接着
・生体の付着した岩の接着
向いていない用途・大型で重量のあるもの(※安価な製品)
使用上の注意点・安価なものは強度が劣るため重量物への使用は避ける
・重量物を接着できるしっかりしたものを選ぶ

まずは瞬間接着剤としておなじみの身近な接着剤でもあるシアノアクリレート系接着剤。
元々は医療用として開発された経緯があり、生体に無害な接着剤でもあります。
瞬間接着剤として使われるだけあり、非常に取り回しが良いのも特徴です。

用途としては、フラグサンゴを接着したり小型のロックを固定する用途に向いています。

注意点として、100円ショップなどで安価で売られているものはシアノアクリレートの濃度が薄いため強度が弱くなります。安価な製品は小さなフラグサンゴの接着に留め、重量のある岩などの接着は避けるようにしましょう。

マルコロックやライブロックレプリカなどある程度の重量(kg単位)がある素材の接着には、石材用などしっかりとした強度を保てる製品を使うことが上手く接着する秘訣となります。

瞬間接着剤とは思えない強度を誇る石材用アロンアルファ

エポキシ系接着剤

主成分エポキシ樹脂
特徴・接着する素材は天然岩から樹脂まで選ばず使用可能
・硬化前は粘土状なので成形がしやすい
・完全硬化には1日ほどかかる
・水中硬化が可能
・しっかりと固まるので重量物同士の接着に向いている
向いている用途・強度が必要なものの接着
・重量物の接着
向いていない用途・生体の付着した岩の接着
使用上の注意点・硬化時に生体に有害なアミン類を放出する
※完全硬化後は放出がなくなるため無害になります。

耐水性接着剤としては古くから使われてきた接着剤。
建築用の耐水パテとしても用いられるだけあり、高い強度を発揮します。

水中の中でも硬化する性質がありますが、硬化時にアミンという生体に害のある物質を放出するため水に浸けて硬化させる場合には生物の入っていない容器を準備する必要があります。

完全に硬化してしまえば無害となるため、接着が完了したものを生体のいる水槽へ入れるのは問題ありません。

用途としては主に重量のある岩同士の接着や、ウツボや大型の甲殻類など力の強いレイアウトを破壊する可能性のある生物を飼育している水槽内のレイアウト用品を接着するのに適しています。

モルタル系接着剤

主成分モルタル(水酸化カルシウム)
特徴・カルシウムベースの接着剤
・水中硬化が可能(製品や加える水の濃度によっては×)
・完全硬化には1日ほどかかる
・しっかりと固まるので重量物同士の接着に向いている
向いている用途・重量物同士の接着
・モルタルベースの擬岩の接着
向いていない用途・生体の付着した岩の接着
使用上の注意点炭酸化する前に水槽へ入れるとpH上昇の原因になる
・製品や使用量によってはアク抜き(炭酸化)が必要
樹脂製のライブロックレプリカは上手く接着できない場合がある
・水中で硬化させるには加える水を少なくして練る必要がある

セメント原料であるモルタルを主原料とした接着剤です。

主成分が水酸化カルシウムで、時間の経過とともにサンゴの骨格と同じ炭酸カルシウムへと変化します。
硬化するまでの時間がネックになりますが、硬化後の接着力の高さや何より主成分が炭酸カルシウムへと変化することからマルコロックやモルタルベースのライブロックレプリカには最適と言えます。特に重量のある岩同士を接着させるには強度の面から言っても安心できる素材です。

水中で硬化させるとき場合、製品によっては水に入れるとバラけてしまう場合があります。
そのような使用をするときには、加える水は少なめにして練りあげてください。

硬化直後は主成分が水酸化カルシウムとなっているため、使用量が多いとpHを大きく上げてしまう性質があります。そのため、量を多く使った場合にはアク抜き(炭酸化)をしっかり行いましょう。

また、接着の相性面で樹脂製のライブロックレプリカへの使用は避けたほうがよいでしょう。

シリコン系接着剤

主成分シリコーン樹脂
特徴・完全硬化には1日ほどかかる
・硬化後も弾力を保持するため衝撃に強い
・他の接着剤よりも重量当たりのコストが安い
・ガラスへの接着も可能
向いている用途・重量物や水を通したくない部分への接着
・ガラスなど、硬くて滑らかな質感をした物の接着
向いていない用途・生体の付着した岩の接着
・塗装する前提のものへの接着
使用上の注意点・硬化時に生体に有害なメチルエチルケトオキシムを放出する
※完全硬化後は放出がなくなるため無害になります。

ガラス水槽や耐水シーリングに使われるシリコン系接着剤も使用可能です。
硬化後もある程度弾力のある状態を保ち、衝撃を受けやすいものへの接着にも適しています。
コストも比較的低いことから大量に接着するものがある場合にも活躍します。

硬化時にメチルエチルケトオキシムという生体に害のある物質を放出するため、エポキシ系接着剤同様に生体のいる水槽内での硬化は避けましょう。
こちらも完全硬化後は生体への害はなくなりますので、安心してその後の使用が可能になります。

樹脂製のライブロックレプリカの接着にも向いていますが、硬化後の塗装はプライマーなどの塗布が必要となるため接着する製品に合わせた色のものを使用しましょう。

熱可塑性樹脂

主成分熱可塑性樹脂
特徴・熱を加えることで変形が可能になる樹脂
・20℃程度の水に入れる(温度を下げる)とすぐに硬化する
・何度でも接着が可能
・生体に無害
向いている用途・フラグサンゴや小物の固定
向いていない用途・表面がつるつるしたものの接着
・重量物の固定
使用上の注意点・柔らかくするときに熱湯を使用するため火傷に注意

熱を加えることで柔らかくなる性質をもった樹脂です。
最大の特徴は熱を加えることで何度でも変形が可能となるため接着後も再利用が可能なこと。
冷えて硬化したあとも適度な硬さがあるため、マガキガイやウニなどを収容した水槽でもレイアウトを崩されてしまう心配が少なくなります。

デメリットとしては他の接着剤のように直接接着するわけではない(密着した後に硬化することで保持する)ため表面がつるつるした滑らかなものの接着には向いていないことと、他の接着剤よりも量に対してのコストが高くなってしまうこと。

ですが、熱を加えることで再利用できるということがかなりのメリットでもあることから、レイアウトの変更を頻繁に行う方にとっては強力な味方になってくれることでしょう。

まとめ

アクアリウム用の接着剤にはさまざまな種類がありますが、それぞれ違った性質を持っており「向いた用途」と「向いていない用途」があります。

リーフタンクを安全に楽しむためにも、接着剤ごとの性質をしっかり把握して使い分けましょう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP