カルシウムリアクターの自動化

リーフタンクを管理するうえで有用なカルシウムリアクターですが、安定した運用にはある程度のノウハウと手動での微調整が必要になります。セット後に小まめに水質チェックをしながら添加量の微調整を行わなければ、気が付いたらKHが高すぎる数値になっていたということもよくあります。

その微調整の手間こそが価格と並ぶカルシウムリアクターの大きなハードルのひとつと言えるでしょう。

そこで今回はカルシウムリアクターの管理のにおける手間を大きく減らすことのできる「自動化」について解説していきます。

なぜ自動化をするのか?

カルシウムリアクターメディアとして使われるアラゴナイトは主に炭酸カルシウム結晶からなる物質です。
これをCO2で溶かすにはpHが7より低くなるまで添加します。

チャンバー内のpHは6.0ほどが目安となりますが、CO2が過剰に添加されるとそれよりもpHが下がる可能性が出てきます。そしてリアクター処理液のpHが必要以上に下がってしまうと、本水槽に添加した際にpHが大きく変動してしまうことにも繋がります。

またCO2も添加しっぱなしの状態では溶け切れないものも出てきますので、消費量が無駄に増えてしまうというデメリットもあります。ランニングコストという観点で見た場合、CO2添加量をコントロールすることは余分な消費量を抑えてコストを下げる役割も出てくるのです。

手動でKHとpHを計りながら適切な添加量を導き出すのはなかなかに手間がかかる作業です。
その手間を大きく省いてくのが、カルシウムリアクター自動化の最大の目的になるというわけです。

CO2添加量の自動調節 

CO2の添加量を自動制御するには「pHコントローラーと「CO2電磁弁を使用します。

pHコントローラー
CO2電磁弁



「電磁弁一体型レギュレーター」を使用しているのであれば電磁弁を新たに追加する必要はありません。
pHコントローラーを追加するだけでCO2の添加量をコントロール可能になります。

電磁弁一体型レギュレーター

CO2添加を自動化するメリットはCO2の添加量が抑えられること本水槽へのpH変動を最小限に抑えられることです。

リアクター内のpHが目的の数値に達すると電磁弁が閉まるため、必要以上のCO2添加をしなくて済みます。さらにリアクター処理液に過剰にCO2が含まれているとpHもその分下がることから、本水槽への添加量が増えるとpHの変動が起きたり藻類の発生が活発化することにも繋がります。

CO2のランニングコストを抑つつ、本水槽の水質(主にpH)変化を最小限に抑えたいのであればpHコントローラーを導入しましょう。

リアクター処理液添加の自動化

ドーシングポンプ

リアクター処理液を本水槽へ添加するにはニードルバルブが微調整できて便利ですが、ドーシングポンプを使うことでさらに添加量を絞ることが可能になります。

ドーシングポンプはスマートフォン用アプリで微細な調整が可能になっており、決まった時間に1ml単位での添加量調整が可能です。それにより本水槽のKHを過剰に上げてしまうという事故が起こりにくくなります。

ボルクスジャパン「Coral Doser」用アプリ「MyHME」での機能例

ただし、ドーシングポンプにはKHを測定しながら添加量を調整する機能はありません。
試薬で本水槽のKHを計測しながら添加量を調整するという使い方になります。

ですが、ドーシングポンプを使えば1日の添加量も1ml単位で決めておくことができるため、過剰添加をしてしまう恐れは大きく下がります。カルシウムリアクターを導入してKHの調整が難しいと感じた方はドーシングポンプを導入してみてください。

pHコントローラーとドーシングポンプのセッティング

基本的なセッティングは下図のように行います。

必要なセッティングは以下のとおりです。
pHコントローラーのセッティング
・pHコントローラーのセンサーはカルシウムリアクターのチャンバー内に設置。
電磁弁のプラグをpHコントローラーのコンセントへ差し込む。
・pHコントローラーの設定は「pH6.0」に達したらCO2の供給を止めるようにする。

ドーシングポンプのセッティング
リアクター処理液がプロテインスキマーに吸い込まれるようにセッティングし、余分なCO2を除去する。
・「カルシウムリアクターへの流入量」は「ドーシングポンプからの添加量」に依存する。
ドーシングポンプからの添加量は本水槽のKHを確認しながら決める。
・添加量は1ml単位からスタート。計測してKHが上がらないようであれば少しずつ添加量を上げていく。
・収容しているサンゴの量によってKHの消費量も変わるため、新しくサンゴを導入したら必ずKHを計測する。

まとめ

カルシウムリアクターにドーシングポンプとpHコントローラーを組み合わせるメリットは以下のとおりです。
pHコントローラー導入のメリット
・CO2ガスの消費量を最小限に抑えることができる。(ランニングコストの低減)
・本水槽へのpH変動も最小限に抑えられる。(水質の安定化)


ドーシングポンプ導入のメリット
・KHの過剰上昇を抑えることができる。
・1ml単位での微調整が可能になるため、導入するサンゴのサイズと数に応じたセッティングが可能になる。
・添加量の微調整が可能なので、水質の安定化に繋がる。
・小型水槽でのカルシウムリアクター運用も可能になる。

カルシウムリアクターは便利な機材ですが、単体では添加量のコントロールが難しい面もあります。
管理の手間を大きく減らしたい方はドーシングポンプとpHコントローラーの導入を検討してみてください。

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