ゴマハゼ リーフタンクとの相性はいまひとつ?

ゴマハゼは遊泳性の超小型のハゼの仲間です。
小型のハゼは一般的にリーフタンクとの相性が良いとされますが、本種に関しては相性はいまひとつといえます。

本種は主に河口域に分布しており、一般的な海水魚よりも少し低めの比重を好む傾向があるためです。

基本情報

生物学的情報
名前ゴマハゼ
学名Pandaka sp.?
Pandaka lidwilli?
Pandaka trimaculata?

※観賞用に流通する個体は区別されないことが多いです。
分布日本(和歌山以南)~東南アジア ― 沿岸部(汽水~海水域)
食性人工飼料、活または冷凍ブラインシュリンプ
グループ遊泳性ハゼ
飼育要件
飼育しやすさ★★★★★
とても容易
入手しやすさ★★★★★
よく見かける
餌付けしやすさ★★★★★
とても容易
混泳適正★☆☆☆☆
不向き
※本種単独での群泳が望ましいです。
最大体長2cm程度
適正水温20~26℃前後

飼育のポイント

河口域に生息する非常に小型の遊泳性ハゼです。
自然下では数十匹単位での群れで、汽水が混じる海域にホバリングしながら生活しています。

成魚になっても1cmを超える程度と、最大でも2cmと非常に小さいことも特徴です。
本種は以前、世界最小の魚とされていたこともありました。
その後、最大でも8mmにしか成長しない「ドワーフ・フェアリー・ミノー」というコイ科の魚が発見され、記録更新されました。

観賞魚として流通の見られる魚種の中では、依然としてトップクラスの小型魚ということになります。

活発な魚と混泳するとエサを取れない可能性が高いので、可能であれば単種での飼育がおすすめです。
若干低めの比重で落ち着いた環境で飼育することが、本種を上手に飼育するポイントです。

海水として一般的な比重、1.021~1.024程度の範囲でも飼育することは可能ですが、その場合は代謝が高くなる傾向があるらしく、頻繁な給餌を行わないと痩せてしまいやすいようです。
この点クリアしていれば、海水での飼育も可能です。

魚種としての特性上はリーフタンクに向くように見える要素が多いのですが、汽水寄りの比重の低い環境を好むという点で、残念ながらリーフタンクにはあまり向いていません。
野外でもサンゴ礁域で見かけることはまずなく、淡水流入のある河口域で多く見られます。

リーフタンクに導入できる遊泳性小型ハゼとしては、オヨギイソハゼやアカメハゼのほうが適性があります。
流通量の多い小型ハゼとしては、例外的な性質といえるでしょう。

他魚種との混泳について

本種自体は温和ですが、成魚でも3cmまでにしか成長しないのが留意点です。
本来の習性を考慮すれば、本種のみで群泳させるのが望ましいです。

大変小型のハゼなので、小型魚として販売される魚種であっても、口に入るサイズなら食べられてしまいます。

肉食魚の餌として

本種は非常にサイズが小さく、安定的に入荷のある魚のため、肉食魚を飼育している人が餌として利用することもあります。

複雑な分類

ゴマハゼ属には外見のよく似た複数の種がおり、それぞれの同定は非常に難しい分類群であることも知られています。
観賞魚として「ゴマハゼ」の名で流通する魚には、ロットにより複数種が混在しています。

国内に分布する種としては、「ゴマハゼ(Pandaka sp.)」、「ミツボシゴマハゼ(Pandaka trimaculata)」、「マングローブゴマハゼ(Pandaka lidwilli)」が知られています。
このうち「ゴマハゼ」とされるものの中には、複数の未記載種が内包される可能性があるようです。

また、「ゴマハゼ」の名で流通する個体は必ずしも日本産とは限りません。
国外産の場合、上記以外の種も含まれている可能性が高いです。

通常、これらが区別して販売されることはほとんどありません。

ゴマハゼ まとめ

ゴマハゼは観賞魚として流通のある魚種ではトップクラスに小さい魚種です。
透明な体に黒と黄色のスポットが入ります。

外見の似通った複数種がおり、いずれも「ゴマハゼ」の名で区別なく流通していることが多いです。
観賞魚としての流通上は、ふつうこれらが区別されることはほとんどありません。

自然下では河口域に群れで生息しており、一般的な海水魚よりもやや低めの比重を好む傾向があります。
海水での飼育も可能ですが、一般的な海水に比べ同等かそれ以上の比重が要求されるリーフタンクとの相性はいまひとつと言えます。

おとなしい魚種であり、他魚への攻撃性はありません。
しかしながら成魚でも全長2cmほどと極めて小さいため、他魚がいると攻撃されたり、食べられたりしてしまうリスクがあります。

リーフタンクに入れる場合は、オヨギイソハゼやアカメハゼのほうが適性があるといえるでしょう。

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