マルコロックの接着は海外ではホワイトセメントやエポキシ樹脂などを使う方法がよく見られます。
しかし、これらの方法は硬化まで時間がかかるものが多く自由な接着が難しいのがネックでした。
そこでplantstechではマルコロックをもっと手軽に接着できる方法はないかと試行錯誤し、強度と手軽さを両立した接着方法に辿り着きました。
今回はそのマルコロックの接着方法をご紹介します。
目次
準備するもの
マルコロックを接着するのに必要なものは3つあります。
それは「接着剤」と「パウダー状の骨材」「小石サイズの骨材」です。
接着剤:アロンアルファ 石材用F
マルコロックの強度を確保しつつ手軽に接着するための接着剤で、現状ベストなものは「アロンアルファ 石材用F」です。
「アロンアルファ 石材用F」は名前のとおり石材を強固に接着するための接着剤で、シアノアクリレートが一般的な瞬間接着剤よりも高濃度で含まれています。パッケージにある「火気厳禁」の表記はその濃度の高さを表しています。
また、そのシアノアクリレート濃度の高さゆえに硬化時に揮発した煙状の蒸散物が出ます。
これには軽度の刺激性があるため、なるべく吸い込まないようにしてください。
この煙は毒性はほとんどなく目や鼻に軽い刺激がある程度ですので、多少吸ってしまっても特に問題はありません。しかし、大量に使う場合や長時間作業などでは体質によって喘息様の症状がでる可能性もあるということなので、接着作業時には充分な換気を行いましょう。
完全に硬化してしまえば他のシアノアクリレート系接着剤と同様に、生体に対しては無害となりますので安心して接着に使用できます。
この「アロンアルファ 石材用F」はアクアリウム用瞬間接着剤のようなゲル状ではなく、サラサラとした液状となっています。これは後述する接着方法において重要なポイントとなります。
パウダー状骨材:MRジョイントパウダー
「MRジョイントパウダー」はマルコロックを破砕してパウダー状にしたものです。
本家マルコロックでは主に底砂用などに使われるものですが、plantstechではこれをマルコロック接着用の骨材として使う方法で「接着強度」「接着の手軽さ」「自然な仕上がり」を兼ね備えた接着方法へ辿り着きました。
先述の「アロンアルファ 石材用F」との相性は抜群で、この2つを組み合わせることでマルコロックのカスタマイズ性は格段に上がります。単純な接着のみならず「自然な表面処理」や「破損した個所の修復」にも活躍する、マルコロックの接着に必要と言えるほどの素材なのです。
「MRジョイントパウダー」と「液状の瞬間接着剤」の組み合わせで強度が出るのは次のような仕組みとなります。
シアノアクリレートは空気中の水分と反応して硬化することから、厚塗りよりも薄塗りのほうが硬化が速まります。骨材となるMRジョイントパウダーは適度な湿気を含んでおり、液状の「アロンアルファ 石材用F」は浸み込んでいきながら湿気と反応して硬化していきます。
このときMRジョイントパウダーの粒子を包み込むようにしてシアノアクリレートが重合していきますが、その構造はコンクリートにおけるモルタルと骨材の関係に似たものとなり高い強度を発揮します。
きちんと接着されていれば耐衝撃強度は未接着のマルコロックよりも高くなります。
このように骨材となる「MRジョイントパウダー」と液状の「アロンアルファ 石材用F」との組み合わせは、硬化速度と高い強度を両立した接着方法となるのです。
小石サイズ骨材:マルコロック クランチ & ミニクランチ
「マルコロック クランチ」と「マルコロック ミニクランチ」はマルコロックを砕いたときに出た小さな破片をパッケージしたものです。こちらは大きな空間を埋めるための骨材として使います。
マルコロックを接着していると、MRジョイントパウダーのみでは開いた空間を埋めるのが難しい状況があります。そのようなときに小石サイズの欠片を使うと強度をしっかり保ちながら強い接着を行うことができるようになります。
マルコロックを砕くにはハンマーとタガネなどの工具が必要です。
ご自身でマルコロックを砕ける工具とスペースをお持ちの方であれば、大きめサイズのマルコロックを砕いた破片をご使用されても問題はありません。
plantstechではご自宅でマルコロックを砕く作業が難しい方のために、破片をサイズで選別したパッケージもご用意しています。これらを目的に応じて使い分けてください。
接着の手順
接着の手順は難しくはありません。
基本的な接着方法と、大きな隙間を埋める場合の接着方法をご紹介します。
基本的な接着方法(MRジョイントパウダーのみの使用)
まずは接着箇所を決め、そこにMRジョイントパウダー(以下、ジョイントパウダー)を盛りつけます。
指で摘まんで振りかけていく方法でも大丈夫ですが、太いストローなどを使うとピンポイントでジョイントパウダーを盛りつけることができるので便利です。
太いストロー以外には薬さじやミクロスパーテルなどが使えます。
一度に多くの量を盛りつけたい場合はクリア素材で作られた漏斗などを使用するのもおすすめです。
盛り付けのアイテムはご自身が使いやすいものを選んでいただいて大丈夫です。
接着したい隙間がジョイントパウダーで充分に埋まったら、あとは「アロンアルファ 石材用F」を流し込んでいくだけです。「アロンアルファ 石材用F」はサラサラの液状であるため、すぐにジョイントパウダーの中に浸み込んでいきます。
硬化はすぐに始まり、流し込む接着剤の量にもよりますが2~3分で固まります。
このとき硬化反応が起きると白煙が発生しますので、それが充分に接着できているかの目印となります。
そして接着剤をかけた場所の表面から濡れたツヤが消えれば、内部まで硬化した状態と判断できます。
あとは接着するマルコロックの向きを変え、接着作業を繰り返していきます。
接着箇所の隙間が全体的に埋まったら接着完了です。
また、表面を自然に仕上げるコツは「パウダーを盛った際に指などで均したりせず、そのまま接着剤を流し込む」ことが重要です。むやみに均してしまうとマルコロック表面の質感と比べて違和感のある仕上がりになってしまいますので注意しましょう。
大きく空いた空間を埋める接着方法
隙間が大きく空いた場所はジョイントパウダーのみで埋めるのが難しい状況になります。
そういったときはマルコロックの欠片を用意して空間を埋めてください。
このとき使用する欠片は、割ったときに生じたものも活用することができます。
ちょうどいい大きさのものがない場合は、小さい欠片を複数個詰め込んでいきましょう。
このとき、小さな欠片同士を予め接着してサイズを調整しておくと接着作業がより楽になります。
ある程度空間が埋まり、パウダーが充分に乗る程度の隙間になったらMRジョイントパウダーを盛りつけて接着します。あとの手順は基本的な接着方法と同じです。
欠片を使って空間を埋めていく接着方法は、より強度を高めることもできることから荷重のかかる部分の接着に適しています。アクロバティックなレイアウトロックを作るには欠かせない接着方法です。
こうして隙間を欠片で埋めていく接着を繰り返すことで、複雑な形状のアーチ型やテーブル型のレイアウトロックを組み上げていくことが可能になります。
これら2種類の接着の仕方が基本の接着方法となります。
これを応用していくことで、マルコロックのカスタマイズがさらに自由なものとなっていくことでしょう。
まとめ
マルコロックは今までになかった自由自在なレイアウトのカスタムを可能とした画期的な素材ですが、自分の思い通りに作るには接着方法もしっかりとマスターすることが重要です。
接着する素材と接着剤の特性、さらにそれらの相性を理解し活かした接着方法を行うことでカスタマイズの自由度は飛躍的に上がります。
筆者もセメントなどを用いた擬岩を作成していた経験がありますが、今回紹介している接着方法を試してみたところ自然な質感と高い接着強度を両立した接着があまりにもかんたんにできてしまったことに衝撃を覚えました。
従来のアクアリウム用接着剤で上手く作ることができないという方は、ぜひ本項で紹介している接着方法をお試しください。
今まで実現が難しかった、オリジナルのレイアウトロック作成の一助になれば幸いです。
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