マルコロックを使ってオリジナルのレイアウトロックを作るには、さまざまな加工が必要です。
今回はどのような作業を行ってマルコロックを加工していくのかについて解説していきます。
目次
素材を選ぶ
まずはどんなレイアウトを作るかイメージを図にしていきましょう。
自分が理想とするリーフタンクを作るために、どんな岩組にどんなサンゴを組み合わせていくかを考える。
最高にワクワクする楽しい瞬間です。
イメージが決まったら素材を選んでいきましょう。
リーフセーバー
基本となる素材はリーフセーバー。内部まで空隙が連続している塊状のマルコロックです。
そして同じリーフセーバーでも大きく分けて2つの質感に分かれます。
ひとつはトゲトゲした質感が目立つ「エッジ」タイプ。
もうひとつは風雨の浸食で角がとれた丸みのある「エッジレス」タイプ。
荒々しくダイナミックなレイアウトを作るならエッジが適しており、土台となるロック部分を目立たないようにするならエッジレスが適任です。これらをそのまま使ってもいいですが、お好みに応じて砕きながら成形していきましょう。
リーフセーバーを使用した作例 |
シェルフ
自然なテーブル状のレイアウトロックを作るのであれば欠かせないのが「シェルフ」。
シェルフはプレート状のものが複雑に重なった構造をしているものが多く、リーフセーバーでは作れない外見を持っています。
ある程度統一された構造と質感をもっているリーフセーバーに比べて採掘量が少ないことから、やや高価な素材です。しかし、一つ一つの個性が強くインパクトのあるワンポイントを作るのに適しています。
そういった理由から、本家マルコロックでは「プレミアムシェルフ」とも呼ばれています。
形の良いものが入手できたら、見せ場となる「ここぞ」というポイントに使いましょう。
シェルフが使いこなせればマルコロックカスタムの上級者といっても過言ではありません。
シェルフを使用した作例 |
スライス
フラグサンゴのコレクションを並べていくフラグラックをマルコロックで作るには上下が平らにカットされたスライスがおすすめです。もちろん用途はそれだけではなく、クサビライシやスコリミア、ハナガタサンゴなど1ポリプが大きなLPSの台座としても使うことができます。
スライスを使用した作例 |
ファウンデーション
レイアウトロックの根元、土台部分に使う素材が「ファウンデーション」です。
ファウンデーションはリーフセーバーの下部をカットしてフラットな形状に加工したもので、安定した足場として使える素材です。アクロバティックなレイアウトロックを作るのであれば安定した足場は欠かせません。
バンドソーやテーブルソーをお持ちの方であればコンクリート切断用のダイヤモンドブレードを使用することで同様の加工ができますが、そういった工具をお持ちでない方はこのファウンデーションの使用をお勧めします。
足場にファウンデーションを使用した作例 |
マルコロックの割り方
素材となるマルコロックが揃ったら、いよいよ加工作業に入ります。
まずはマルコロックを割るためのアイテムを揃えましょう。
必要なアイテム
マルコロックは空隙と多孔質構造を多く残していることから割りやすい石灰岩ではありますが、素手で割ることは非常に困難です。効率良く割るにはハンマーやタガネなどを使いましょう。
ハンマーはレンガハンマーやロックピックハンマーなども用意すると細部の加工もしやすくなるのでお勧めです。
タガネは幅広のものだけでなく、先細のものも用意しておくと細部の加工が容易になります。
体を保護するための道具としては「保護メガネ」と「作業用手袋」を用意しましょう。
特に割る瞬間に細かな破片が周囲に飛び散るため、目をケガをしないように必ず保護メガネを着用してください。
また、マルコロックは多孔質構造を残しているためヤスリのようなザラザラとした表面質感をもっています。素手で扱うと皮膚が削れて肌を痛めてしまいますので、手のひら保護のため摩擦に強い作業用ニトリル手袋の着用がお勧めです。
余談ですが、筆者は素手でマルコロックを触っていたらスマートフォンの指紋認証が通らなくなってしまったことがありました…
割り方
まずは硬くて傷がついてもいい場所にマルコロックを置きます。
都合の良い場所がなければ、ホームセンターなどで売られている花崗岩平板やコンクリート板を用意しましょう。
用意ができたら、はじめに作業場所をなるべくゴミがないようにキレイに掃除します。※理由は後述します。
基本的な割り方は下記画像の流れを参照としてください。
おおまかに、このような流れで割っていきます。
なお、割ったときに出た微細な破片(粉末状のものも含む)は残さず接着用の資材として使用可能です。
これらを捨てずに余すことなく活用することができるのもマルコロックの強みといえます。
破片を回収するには卓上ほうきとダストパンを用意しておくと集めやすいので便利です。
最初に作業場所をキレイに掃除しておくと、細かな破片を回収する際にゴミ取りをしなくて済みます。
これが最初に作業場所を掃除しておく理由です。
ある程度まで割れたら次は接着で組み立てていく番ですが、その前にカットする方法と穴あけについてもご紹介します。
マルコロックの切断と穴あけ
マルコロックの切断と穴あけは電動工具が必要になる「応用編」になります。
空隙が多く多孔質構造を残した石灰岩といえど硬さはレンガほどはあるため、手動で切断と穴あけを行うのはなかなか大変です。
ここでは「あると便利」なアイテムとして紹介していきます。
切断について
スライスやファウンデーションのようなフラットな切断を行うにはバンドソーやテーブルソー、チップソー、グラインダーといった電動工具が必要になります。
これらは高価な機械も多く、また使用にもある程度の危険が伴うためD.I.Y.に慣れていない方には気軽にお勧めができません。
小型のマルコロックであれば金切ノコギリやレンガ用ノコギリなどでも切断は可能ですが、大きいサイズのマルコロックは手動でまっすぐキレイに切断するのはとても大変です。
リーフセーバーを原料としているファウンデーションとスライスですが、比べて割高な価格になってしまうのは切断にかかるコスト面が大きいためなのです。
そして手引きのノコギリが活躍するのは、主に細部の加工用としてです。
ハンマーとタガネだけでは予想しない方向に割れが生じることがあるため、マルコロックを必要以上に割りたくないときに手引きノコギリの出番がやってきます。
具体的には「ちょっと邪魔に思える突起部分をなくしたい」用途で活躍します。
イメージよりも少しはみ出した程度の場所をハンマーとタガネで取り除こうとすると、割れてほしくない部分まで割れることがよくあります。
そこで手引きノコギリを使って丁寧にカットすることで、よけいな破損を招かずに済むのです。
カットした部分は直線的な断面になっているので、破片やパウダーを被せるように接着しましょう。
ある程度の慣れは必要ですが、接着次第で自然な質感に直すことも可能になります。
細部の形状までこだわったレイアウトロックを作りたい方は、手軽に使える手引きのノコギリを用意しておくとより作業が捗るようになるかと思います。
穴あけについて
プラグの付いたフラグサンゴを置くには穴あけが必要です。
穴を数個開ける程度であればハンドドリルでも大丈夫ですが、数を多く開けるなら電動ドリルの使用がおすすめです。
なお、機材の使い分けとして「電動ドリル」と「インパクトドライバー」は用途が変わるので注意しましょう。
ハンマー機構を搭載した「インパクトドライバー」は丈夫な素材に穴を素早くたくさん開ける用途に向いています。
「電動ドリル」はハンマー機構を搭載しておらず、小さく割れやすい素材に対して精密な穴を開ける用途に適しています。
ほとんどのマルコロックの穴あけについてはインパクトドライバーでも問題ありません。
しかし、10cm以下の小石サイズに対しては縦の振動が少ない電動ドリルが使いやすくなります。
レイアウトロックを組み上げた後、予期せぬ割れを生じさせないように精密な穴あけを行うときにも電動ドリルが向いているといえます。
使いやすさに関しては個人差や製品ごとの違いがあるため断言できませんが、電動工具を使用した経験がない方はこうした機具ごとの性質を把握しておくと失敗が少なくなるかと思います。
また、両者に共通していることですがドリルビットは「コンクリート用」のものを使います。
インパクトドライバー用と電動ドリル用のドリルビットは、それぞれジャックの形状も違うため注意しましょう。
マルコロックの接着方法
素材となるマルコロックを細かく分割できたら、いよいよ接着の工程に入ります。
基本の接着方法についてはこちらの記事でも解説していますので、併せてお読みください。
こちらの接着方法を試していただければ、マルコロックの接着は驚くほどかんたんなものとなります。
特に筆者がそうであったように、ご自身でモルタルを原料にライブロックレプリカを作られていた方ほどその実感は大きく感じることと思います。
まとめ
マルコロックの加工、主に割ったり切断するにはそれぞれ必要な道具や機材があります。
本格的にマルコロックをカスタムするためには、そういった道具類を揃えて臨みましょう。
マルコロックを割るために必要な基本のアイテム |
・「ハンマー」「タガネ」「保護メガネ」「作業用ニトリル手袋」は必ず揃えましょう。
マルコロックを割るために「あると便利」なアイテム |
・花崗岩平板もしくはコンクリート平板があると割り作業がしやすくなります。
・卓上ほうきとダストパンは破片や粉末の回収が楽になります。
大きめのマルコロックを切断するためのアイテム |
※ある程度の危険が伴うためD.I.Y.初心者にはお勧めできません。
マルコロックの細部を削るためのアイテム |
・細部を削るには電動グラインダーが便利ですが、こちらも慣れないと危険を伴います。
・安全性を優先するなら手引きの金切りノコギリやレンガ用ノコギリを使いましょう。
マルコロックに穴を開けるためのアイテム |
・穴を開けるには電動ドリルやインパクトドライバーがあると便利。
・予期せぬ破損防止と精密作業を優先するなら電動ドリルが推奨。
・数を開ける作業効率優先ならインパクトドライバー。
・ドリル刃はコンクリート用ビットが必要。
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