スターポリプ/Star Polyps

ソフトコーラルの仲間でも最もポピュラーと言えるサンゴです。
似た姿をした種類をまとめてスターポリプと称しているため、実際には１種類に絞られません。

ポリプの形状もさまざまで蛍光グリーンの濃淡の差や、共肉の色もベージュや紫色のものもいたりとそのバリエーションも多岐にわたります。

そのバリエーションの豊富さからコレクション性も高いソフトコーラルです。

生物学的情報
名前	スターポリプ
学名	Pachyclavularia sp.（複数種類を含む）
分布	インド洋~太平洋
グループ	ソフトコーラル

飼育要件
飼育しやすさ	★★★★☆ ポイントを押さえれば容易
入手しやすさ	★★★★★ よく見かける
適正水温	24℃前後
照明	中 60cm水槽で1500lm程度
水流	弱～強 基本はポリプがなびく程度。まれに強い水流を好むものも。
給餌	基本は不要 ポリプを開かないものは栄養剤を与えて様子を見る
備考	同じような見た目でも好む環境が違うものがいます。

リーフタンクにおける飼育のポイント

スターポリプの仲間は最もポピュラーなソフトコーラルとして知られており、その育成も非常に易しい部類であると言われることが多いサンゴです。

しかし、実は同じスターポリプに見えても光や水流の強弱など好む環境が異なるパターンが存在します。
そして育成が容易なはずのスターポリプなのにまったくポリプを開かないということもしばしば見られます。

ここがビギナーにとっても大きな落とし穴であることが多く、ポリプがまったく開かないままに共肉が痩せて死んでしまったという経験をした方も少なくないのではないでしょうか。

このポリプが開かない理由は大きく分けてふたつあります。
「ポリプを開くための体力がない」ことと「好む環境が違っていた」というパターンが多くを占めます。

ポリプが開かないものに当たってしまった場合は「栄養剤を使ったトリートメント」もしくは「水流や光量を変えるなど環境要素に変化をつける」ことで対応する必要があります。

この対処を避けたい方はショップ店頭でポリプがしっかり開いているものを選ぶようにしましょう。

水槽導入直後のスターポリプのケア

スターポリプも入荷状況によって健康状態もさまざまに違います。

最初から体力があってポリプをふさふさに咲かせるものもあれば、ポリプを開くための体力がなくまったく開こうとしないものもあります。水流もしっかりしていて照明もサンゴ用のものを使用しているのに頑なにポリプを開こうとしないものは、この「ポリプを開くための体力がない」パターンである場合が多いのです。

そこで対策としては、まず「サンゴ用栄養剤を１週間ほど使用して様子を見ること」から始めます。

この際に使用するサンゴ用栄養剤は、「リーフエナジーAB+」のようにサンゴが体を動かすためのエネルギーとなる炭水化物を含むものがおすすめです。

ほとんどの場合は、体を動かすための栄養を摂取することで徐々にポリプを開く姿が見られるようになっていきます。

栄養剤でトリートメントをしてもポリプを開く素振りが見えない場合は「好む環境条件が違っていた」と判断してよいでしょう。

環境に変化をつけてみる

栄養剤によるトリートメントを1週間～2週間ほど続けてポリプを開かないのであれば環境要素に変化をつけて様子を見ましょう。体力をつけたのにポリプを開かないものは「強い水流の環境を好む群体」か「光が弱い、もしくは強すぎる」というパターンが多く見られます。

中にはミドリイシと同等の水流をつけることでようやくポリプを開いてくれたということもあります。
水流の強弱については根気よく試してみましょう。
ポリプが開かない間は栄養剤の添加も継続してください。

光に関しては「足りない」場合と「強すぎてポリプを開かない」パターンに分かれます。
蛍光グリーンのものは青い光を、蛍光色素を持たないものには白色に近い光を当てましょう。

充分な光量がある水槽では「陰になる部分にスターポリプを置いて様子を見る」のも選択肢のひとつになります。

スターポリプ　まとめ

一般的には飼育が容易と言われているスターポリプですが、水槽導入直後は体力がなくポリプを開かないものもよく見られます。その対処法を的確に行わないとポリプを開かないまま死んでしまうこともあります。

ポピュラーなソフトコーラルと侮るとなかなか手を焼かせる面もありますが、ふさふさしたポリプを風が吹く草原のように靡かせる姿はとても魅力的なサンゴです。

ポイントさえ抑えれば難しいことはありませんが、「サンゴが何を必要としていて、今求めているか？」を教えてくれるビギナーにとって登竜門ともいえるサンゴでもあります。

スターポリプをしっかりとトリートメントし、育て上げることができればもう立派な中級者とも言えるでしょう。