サンゴを食べないヤッコ

マリンアクアリウムにおいて主役を務めることも多く、花形カテゴリともいえるヤッコの仲間。
しかし残念ながら、リーフタンクとの相性はお世辞にも良いとは言えません。

ヤッコの仲間の多くはポリプ食であり、サンゴを食べてしまうためです。

とはいえ、ヤッコ類全種が全種、サンゴとの相性が悪いわけではありません。
一部、飼育方法や管理を工夫することで共存が可能になる種もいます。

ここでは比較的サンゴを食べにくく、リーフタンクでの共存が可能な種を紹介します。

アフリカンフレームバックエンゼル

学名:Centoropyge acanthops
最大全長:約8cm

東アフリカ沿岸に生息する小型のヤッコです。
紺色をベースに頭部~背ビレに入るオレンジ色が美しく、尾ビレは黄色に染まる種類です。

ヤッコ類としては比較的丈夫な部類に入り、餌付けもしやすいほうです。
ただし性格に関しては留意事項があり、5cmを超えると気が荒くなることがあります。
他魚と混泳させる場合は注意しましょう。

ライブロックやマルコロックなどで複雑な構造の隠れ家を用意しておくと、混泳に関連するトラブルは軽減できます。

フレームエンゼル

学名:Centropyge loriculus
最大全長:約8cm

ヤッコとしては珍しい、真っ赤な体色を持つ小型ヤッコです。
本種は生息地域によって体色の濃淡が見られます。

主な分布域であり、比較的流通量の多い中部太平洋の個体は、朱色の体色となる傾向があります。

かつて入荷のあったクリスマス島(キリバス)やハワイ諸島の近辺に産する個体は、紅色がより濃くなる傾向があるといわれていました。

チェルブピグミーエンゼル

学名:Centropyge argi
最大全長:約6cm

カリブ海に生息する小型ヤッコです。
紺色の体に黄色の頭部が良く目立つ、美しい種類です。

比較的丈夫で飼育しやすく、餌付きやすい種でもあります。
水槽内を活発に泳ぎ回るため、遊泳できるスペースを設けたレイアウトをおすすめ致します。

アカハラヤッコ

学名:Centropyge ferrugata
最大全長:約8cm

西部太平洋に生息する小型ヤッコです。
腹側が赤く染まり、背ビレと尻ビレの後端にブルーの縞状模様が入ります。

比較的餌付きやすく、餌付いた個体であればそれほど飼育も難しくありません。

チャイロヤッコ

学名:Centropyge flavicauda
最大全長:約6cm

西部太平洋に生息する小型ヤッコです。
暗めの青を基調とし頭部が暗褐色に染まるという、全体的に渋い色彩を持った種です。

広域分布種で、生息地域によって体色に若干の変異が見られます。

若干餌付きにくい面があり、人工飼料に慣れさせるには5cmまでの幼魚が餌付けやすくおすすめです。
餌付いた個体であればそれほど飼育は難しくなく、ヤッコ飼育の初心者にもおすすめです。

ナメラヤッコ

学名:Centropyge vrolikii
最大全長:約10cm

西部太平洋に生息する小型ヤッコです。
ここまで紹介した種はケントロピーゲ属の中でもクシピポプス亜属と呼ばれるグループに属しますが、本種はケントロピーゲ亜属に属しています。

淡い白色を基調としており、尾ビレ付近に向かうにしたがい黒のグラデーションが掛かるという、上品な色彩が特徴です。

本種も若干餌付きにくい面があり、人工飼料に慣れさせるには5cmまでの幼魚からの飼育が餌付けやすいためおすすめです。
餌付いた個体であれば、それほど飼育は難しくありません。

また本種はソフトコーラルはあまり食べないものの、ハードコーラルは食べてしまう性質を持っています。
リーフタンクに導入する場合は、ソフトコーラルメインの水槽が適しています。

100%絶対にサンゴを食べないわけではない

ここで紹介したヤッコ類は、基本的に状態よく餌付いていればサンゴのポリプをつつくことはほとんどありません。

しかしながら、極度な空腹状態に陥っている場合や、与えている餌が適切でない場合は、サンゴのポリプをつつくことがありますので注意が必要です。

ポリプを積極的に食べるわけではないものの、生き延びるために仕方なく食べてしまうのです。
LPSとSPSを比較すると、LPSのほうが突かれてしまう可能性は高いようです。

比較的突きにくい魚種ですが、管理状況や個体によっては突いてしまう場合もある点には留意しておきましょう。

サンゴを食べないヤッコ まとめ

ヤッコの仲間の多くはポリプ食性を持っており、サンゴを食べてしまいます。

このため、ヤッコというグループ単位でリーフタンクへの導入は基本的に向きません。

どちらかといえば、サンゴではなく魚を中心とした水槽、コミュニティタンク向きのグループとなります。

人気種もリーフタンクには不向き

タテジマキンチャクダイ
イナズマヤッコ

しかしながら、一部の種はポリプ食性が弱く、リーフタンクへの導入が可能な種もいます。
流通量が多い魚種としては、Centropyge(ケントロピーゲ)属の種が多く該当します。

また分類学上、ケントロピーゲ属の魚種はさらに細分化されており、「ケントロピーゲ亜属」と「クシピポプス亜属」に分けられています。

また、ケントロピーゲ属であればサンゴをつつかない、というわけでもありません。
ここで紹介されていない種は、サンゴをつつくことが知られているか、または流通量が少ないために不確定要素が大きい種 ということになります。

ケントロピーゲ亜属

比較的流通がみられ、かつサンゴを突きにくい種の中で、ケントロピーゲ亜属に属するものはナメラヤッコだけです。
クシピポプス亜属に比べると、飼育環境への要求はやや神経質といわれています。

ナメラヤッコ

クシピポプス亜属

ケントロピーゲ亜属に比べると、いくぶんか飼育しやすいといわれています。
人気のフレームエンゼルをはじめ、流通量が多い種はほとんどがこちらに属しています。

フレームエンゼル
アカハラヤッコ
アフリカンフレームバックエンゼル
チェルブピグミーエンゼル
チャイロヤッコ

リーフタンクにヤッコ類を導入したい場合は、ここで紹介した種から選ぶとトラブルが少ないでしょう。

リーフタンクに導入する魚種選定の一助となれば幸いです。

▼参考:ヤッコ類の基本的な性質についてはこちら

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