カラーバリエーションが豊富な好日性ソフトコーラル、マメスナギンチャクの近縁種です。
2008年に記載された新種の一つで、日本ではじめて発見された種になります。
外海に面した波当たりの強い海域に多く、黒潮の流れに沿った分布を示すことからこの名がつけられています。
マメスナギンチャクに非常によく似ていますが、ポリプの一つ一つが群体の組織にほぼ埋没しており、突出しないというのが本種の特徴です。
飼育上の基本的な性質も、マメスナギンチャクに準じます。
マメスナギンチャク同様、直径4~8mm程度のポリプをマット状の共肉で繋げた群体として生育します。
ただし本種のほうが横に這うように、匍匐して広がっていく性質が強い傾向があるようです。
基本情報
流通名 | クロシオマメスナギンチャク |
学名 | Zoanthus kuroshio |
分布 | 太平洋~インド洋 |
グループ | ソフトコーラル |
飼育しやすさ | ★★★★☆ 基本を押さえれば容易 |
入手しやすさ | ★★★★★ よく見かける |
備考 | マメスナギンチャクに比べると、やや強めの水流を好みます。 他のサンゴに対する毒性がやや強いので、他種のサンゴを隣接して配置しないように注意しましょう。 |
飼育要件
自生地の環境 / Habitat Sea Area |
・光合成のみでは栄養が不足しやすい面があります。
・給餌や栄養剤の使用で調子が上がりやすくなります。
適正水温 / Water Temperature |
・一般的なサンゴが好む水温を維持します。
光色のセッティング / Lighting Spectrum |
PARの目安 | 100~200 |
・サンゴの蛍光色素に対応した光色のものを使用しましょう。
・光量は中程度。蛍光色がきれいに出る程度で問題ありません。
・色揚げを強化するならシアン~グリーンの光を増やしましょう。
水流 / Water Flow |
・コントローラー付きサーキュレーターの使用推奨。
・一般的なマメスナギンチャクと比較して、やや強めの水流を好みます。
・ゾアポックス予防のため、澱みのないランダム水流でポリプの間にゴミが溜まらないようにしましょう。
エサの種類とサイズ / Feeding Menu |
・エサは与えなくても大丈夫ですが、与えればその分成長が良くなります。
・与える場合の頻度は2~3日に一度程度を目安に。給餌量は残り餌が出ない程度の少量に留めます。
・ゾアポックス予防のために残り餌が出ないような給餌を心掛けましょう。
リーフタンクにおける飼育のポイント
基本的な性質はマメスナギンチャクに準じますが、本種は潮通しの良い海域に生息することが多く、ある程度強めの水流が望ましい面があります。
潮通しの良い環境に生息することから清潔な環境を好むようで、残共肉(ポリプ間の繋がった肉部分)にゴミやデトリタスが積もった状態が続くとゾアポックスを発症しやすい傾向があるようです。
※ゾアポックスとはマメスナギンチャクの共肉部分に白いできもののような突起ができる病気で、これはマメスナギンチャクが細菌や微細な寄生虫に対して免疫反応を起こした結果現れるものです。
状態良く育てるためには強めの水流を心掛け、ゴミが共肉に積もりにくい環境づくりを心がけましょう。
また、他のサンゴと一緒に配置する場合は、注意点があります。
本種もマメスナギンチャク同様、ほかの種類のサンゴに対する刺胞毒がやや強く、隣接したサンゴを攻撃して弱らせてしまうことがあります。
このため、レイアウトの際はほかのサンゴとは離して配置することが求められます。
隣接していなければ攻撃しないので、離して配置すればほかのサンゴとの共存は問題ありません。
多様なカラーバリエーション
マメスナギンチャク同様、実に豊富なカラーバリエーションが知られています。
マメスナギンチャクのバリエーションとして、コレクション性も高い種です。
クロシオマメスナギンチャクのトリートメント
マメスナギンチャク同様に、基本的には丈夫なソフトコーラルです。
ただし、痩せて体力が落ちたものはサンゴ用栄養剤でのトリートメントが必要です。
ポリプの粒が小さいものにも栄養剤で必要な栄養を補うのが有効です。
購入時に細くてポリプをなかなか開かないようであれば、まずは水槽内の環境から見直して水流や光など環境条件に不足がなければ栄養が不足して体力が落ちている可能性が高くなります。
そういったときにはサンゴ用の栄養剤を使用してトリートメントをしましょう。
サンゴ用の栄養剤は必ず規定量に沿った使い方をしてください。
過剰に添加してしまうと水質の悪化や腐敗菌の増殖などを招いてしまうことがあるため、注意しましょう。
サンゴの体力を回復させるためといっても栄養剤を過剰に添加してしまうと、マメスナギンチャクが吸収しきれない分の栄養がビブリオ菌など病気を引き起こす細菌の栄養源になってしまうことがあります。
ビブリオ菌をはじめ、サンゴの病気を引き起こしてしまう細菌類が増えすぎてしまうとゾアポックスと呼ばれる白い斑点状の腫れ物のようなものが表れてしまいます。
この病気はビブリオ菌や微胞子虫といったサンゴの体内に侵入する病原菌や寄生虫に対して、マメスナギンチャクが抵抗するための免疫反応と言われています。
「クロシオマメスナギンチャクの体力が落ちている」+「病原菌などが増えやすい環境」が合わさることでゾアポックスが発生してしまう要因となります。
クロシオマメスナギンチャクのトリートメントを行うにあたっては、水換えを行い清潔な環境を整えてから栄養剤を与えるようにしましょう。
クロシオマメスナギンチャク まとめ
クロシオマメスナギンチャクは、マメスナギンチャク同様カラーバリエーションが豊かなソフトコーラルです。
ポリプとポリプ中央部のカラーリングが個体によって異なり、高いコレクション性が魅力です。
他のマメスナギンチャクと比較して若干デリケートな面はありますが、充分な栄養補給と水流が強めで清潔な環境を整えれば身構えることなく飼育が可能です。
クロシオマメスナギンチャクは、派手なカラーリングの品種も多いことからコレクションする人も多い人気種です。
様々な色彩の個体を集めることで、水槽に彩りを添えてくれるでしょう。
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