マルコロックは接着によって自由な形状を作れるレイアウト素材ですが、作れるのは「いかにも岩!」といった形状だけに限られません。ミドリイシの骨格のような枝状のものも作成することが可能です。
今回はマルコロックを使ったブランチロックの作り方を解説します。
目次
材料
まずは材料です。主に使用するのはリーフセーバーを細かく砕いた破片サイズのものです。
作りたいブランチロックの太さに応じたサイズのものを用意しましょう。
そして石材用の接着剤と骨材となるMRジョイントパウダーを用意すればかんたんに作ることができます。
それでは、各材料について説明します。
破片サイズのマルコロック

主な材料となるものはマルコロックリーフセーバーを細かく砕いた破片です。
これを繋ぎ合わせて枝状に形作っていきます。
基本は大きめのリーフセーバーを割って破片を作っていきますが、ハンマーやタガネなどの工具が必要なのと、アパートやマンションなどにお住まいの方は叩くときの音が気になるかと思います。
叩いて割る加工が難しい方は、破片サイズをパッケージされたものを用意しましょう。
ロックグルー(接着剤)とジョイントパウダー


マルコロックを接着するには同じマルコロックをパウダー状に粉砕したMRジョイントパウダーを接着用の骨材として使用します。
MRジョイントパウダーを盛りつけて接着剤を流し込むだけで接着が可能です。
接着剤がゲル状ではなく「さらさらの液状」であることで、盛り付けたジョイントパウダーの内部にまで浸み込んで硬化します。

このMRジョイントパウダーにはマルコロックの地色と同じ白色のものと、石灰藻の色を模した赤色のコーラインレッドがあります。作りたい質感に応じて使い分けてください。
ジョイントパウダー ラインナップ |


コーラインレッド
この2色のジョイントパウダーはマルコロックの地色に合わせるだけでなく、白と赤を混ぜることで、よりリアルな石灰藻の表現が可能になります。

※赤と白をブレンドすることで色合いを変化させることも可能です。
MRジョイントパウダーの使い分けについては別記事で解説予定です。
ファウンデーション ※土台が必要な場合

主に土台として使用します
ファウンデーションは枝を組み上げて接着する際の土台として使用します。
枝を自由に組み換えできるようなレイアウトでは使用しなくても問題ありませんが、枝の上に重量のあるサンゴを載せる場合などでは土台として接着することをおすすめします。

材料の目安
ブランチロックを作るにあたっては、枝の太さにより材料となるマルコロックのサイズが変わります。
細枝タイプを作るなら1辺が1~3cmほどのものを用意し、太枝タイプを作るのであれば1辺が5cm以上のものを用意します。
枝の太さ別の分量は下記を参考にしてください。
細枝サイズ
枝の太さが直径3cm未満の細枝サイズを作るのであれば下記の分量を用意してください。
- 「リーフセーバー クランチ 1kg」×①
- 「アロンアルファ石材用F 50g」×①
- 「MRジョイントパウダー 300ml」×①



この分量で10~20cm程の細枝状ブランチロックを3~4本ほど作成可能です。

太枝サイズ
枝の太さが直径5cmを超える太枝サイズを作るのであれば下記の分量を用意してください。
- 「リーフセーバーSSS~Sサイズ2kg」×①
- 「アロンアルファ石材用F 50g」×①
- 「MRジョイントパウダー 300ml」×①



この分量で20~30cm程の太枝状ブランチロックを3本ほど作成可能です。

45~60cm向けブランチロック
上記の細枝と太枝のレシピを組み合わせると、45~60cmレギュラー水槽に対してちょうどいい分量のブランチロックを作ることができます。
- 「リーフセーバー クランチ 1kg」×①
- 「リーフセーバーSSS~Sサイズ2kg」×①
- 「アロンアルファ石材用F 50g」×②
- 「MRジョイントパウダー 300ml」×②




この分量で下記の画像のボリューム(45~60cmレギュラー水槽を想定したボリューム)でブランチロックを作成可能です。

接着の手順
接着の仕方や仕組みについては別の記事でも詳しく解説しています。
併せてお読みください。
接着作業の流れ
接着作業自体は特に難しいことはありません。
基本的には下記①~⑧までの作業を繰り返していきます。








接着部分をぐるっと回してひと通り接着できていればOKです。
未接着の部分が残っていると強度が落ちて、重さがかかったときに破損してしまうことがあるので注意しましょう。しっかり接着できていれば元の石部分よりも強固になっています。

ブランチロックが数本できあがってきたら仕上げを決めます。
仕上げは作りたいレイアウトに応じて決めていきましょう。
ある程度重さのあるハードコーラルを載せるのであれば、ガッチリと接着する仕上げがオススメです。
特にアクロバティックなレイアウトは接着なしに作るのは難しいため、形状を確認しながら緻密に作り上げていきましょう。
後からレイアウトの変更ができるようにしたい場合はブランチロックを個別に作り、接着せずに組み上げる仕上げになります。この方法は後になって融通が利く半面、重量のあるサンゴを載せたりするのには向いていません。
このように飼育するサンゴの種類や魚種に応じて仕上げを使い分けてください。
作業時の注意点

接着に使用するロックグルー(石材用アロンアルファF)はシアノアクリレート濃度が一般的な瞬間接着剤よりも高いため、取り扱いには注意してください。
具体的には以下の3つが注意点となります。
- 接着時に出る白い煙を吸い続けると、のどの粘膜を痛めてしまうことがあります。
必ず換気の良い場所で作業してください。 - 接着剤が硬化する際に発熱します。
少量であれば問題ありませんが、一度に多くの量を使うと熱く感じるほどになります。 - 接着剤が指に付着すると皮膚を傷めたり、硬化時の発熱から低温火傷する可能性があります。
必ず手袋をして作業を行ってください。
ブランチロックの作成時は、通常の接着と比べ接着剤を多めに使います。
硬化時の白煙は接着剤の使用量が多いほど濃く発生します。
この白煙には有機溶剤ほどの健康被害はありませんが、目や鼻に沁みる刺激性があります。
なるべく吸い込まないように部屋の換気を良くして作業するようにしましょう。
マルコロックを使ったブランチロックの作り方 まとめ
従来、枝状のライブロックは良い形のものが少なく、あったとしても破損しやすいなど使い勝手は良いとは言えませんでした。また、モルタルを使用した擬岩でも固まるまで数時間を要し、初心者が手軽に作れるものでもありませんでした。
マルコロックを使ったブランチロックの作成は、材料さえ揃えてしまえばかんたんに作ることができます。
初心者でも難なく美しいブランチロックを作ることができるのです。
唯一の注意点としては、シアノアクリレート濃度の高い接着剤を使うことから換気に注意し、手袋を着用して直接肌に接着剤が付着しないように注意する必要があります。
その点にさえ注意してしまえば、数分で接着ができてしまうので作業自体には時間も大きくかかりません。
マルコロックの接着特性を活かすことで、立体的で個性的なレイアウトを手軽に楽しむことができます。
ぜひ、自分だけのオリジナルレイアウトを楽しんでください。
コメント