アラゴナイトサンドはサンゴ礁の海底から採取された底床です。
貝やサンゴ由来の化石や貝殻や死サンゴ骨格の破片などから構成されています。
「アラゴナイトサンド」として販売される底床は一般的なサンゴ砂に比べより清浄な海域から採取されており、「溶出成分の観点で高品質なサンゴ砂」とも言えます。
リーフタンクの構築にあたり、最も一般的な底床といえるでしょう。
なお、広義ではいわゆる「サンゴ砂」も、実はアラゴナイトサンドの一種です。
ここでは「アラゴナイトサンド」の名称で販売される製品を対象に解説します。
特徴
アラゴナイトサンドはサンゴ砂に比べカルシウムが溶出しやすく、固結作用が弱く沈着しにくい性質があります。
バクテリアの定着能力により長けており、通常のサンゴ砂よりも生物ろ過に秀でています。
サンゴ砂に比べリン酸の溶出も少なく、サンゴの育成に必須となる微量元素のバランスが良いのも特徴です。
低栄養塩の海域に分布するサンゴ向き
以上の性質を踏まえると、アラゴナイトサンドとして販売されている製品はサンゴ砂に比べ栄養塩が少ない清浄な海域に生息するサンゴの育成により効果的と考えてよいでしょう。
ミドリイシをはじめ、コモンサンゴなどSPSサンゴの育成に特に向いています。
一方でアラゴナイトサンドは、観賞魚用の底床としては割高な傾向があります。
ソフトコーラルやLPSなど、多少の栄養塩を要求するサンゴを育成する場合や、海水魚を中心とする水槽の場合は一般的なサンゴ砂で問題ないことも多いでしょう。
外観はあまり関係がない
一口にアラゴナイトサンドといってもその見た目は様々です。
主に貝化石、貝殻、死サンゴ片から構成されますが、その構成比は採取場所によって大きく異なります。
アラゴアナイトにおいては外観よりも溶出成分が重視されます。
品質の良し悪しは採取場所で決まるといっても過言ではなく、海洋汚染の少ない清浄な海域で採取されたものが高品質とされています。
pH、KHおよびカルシウム値の上昇作用(安定作用)がサンゴ砂よりもサンゴの育成に適した環境を作りやすい性質により、サンゴを主役としたリーフタンクにはこのアラゴナイトサンドが最も好まれます。
アラゴナイトサンド まとめ
- 栄養塩の溶出が少なく、かつ微量元素の供給ができる底床です。
- ミドリイシをはじめとした、低栄養塩の清浄な海域に生育するSPSの育成に向いています。
- 観賞魚用の底床としては高品質な分、割高になる傾向があります。
- 栄養塩を多少要求するソフトコーラルやLPSを対象とする場合は、サンゴ砂のほうが有効な場合があります。
- 外観は採集場所により大きく異なることが多いです。育成には差し支えありません。
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