生物ろ過の基本 ろ過バクテリアの有用性

リーフタンクの維持において、ろ過バクテリアの存在は欠かせません。
バクテリアは目に見えませんが、いかに良い状態で定着させるかが、水槽のコンディションに直結します。

ここでは、リーフタンクにおける有用なろ過バクテリア関連事項について解説します。

リーフタンクは数あるアクアリウムの分野の中でも、最も硝酸塩に敏感なカテゴリです。
したがって、ろ過バクテリア定着環境の構築の成否がクオリティを左右とするといっても、過言ではないほど重要な存在です。

ニトロソナモスとニトロバクター

リーフタンクの維持に重要なバクテリアは大別して2種います。
アンモニアを亜硝酸に酸化させるバクテリアと、亜硝酸を硝酸塩へと酸化させるバクテリアの2種類です。

アンモニアを亜硝酸へと酸化するバクテリアがニトロソモナス。
亜硝酸を硝酸塩へと酸化するバクテリアがニトロバクターです。

この2種を総称して、ろ過バクテリアと呼ばれています。
なお一口にニトロソモナス、ニトロバクターといっても、この表現は属単位の表現となります。

バクテリアを定着させるための方法

リーフタンクにおいてろ過バクテリアを定着させる方法は、4パターンあります。

バクテリア剤を使用する

バクテリアの定着手段としては最も一般的な方法です。
休眠状態のバクテリアが水質調整剤の形で市販されています。

製品に記載の添加量にしたがって水槽に添加するだけなので取り扱いも容易です。

各種製品が市販されていますが、製品ごとに配合されている種は異なります。
少なくともニトロソモナス、ニトロバクターの2群から構成されているはずですが、製品によりそれらが単一種から構成されているとも限りません。
また、具体的な種や構成は製品のクオリティに直結するため、企業秘密となっていることも多いです。

●●社のバクテリアが良い/悪い といった評価は、お使いの飼育環境に大きく依存します。
バクテリアの適不適は水質、底床、ライブロック、生体などの組み合わせにより決まるので、一概にレビューの高いバクテリアが必ずしもマッチするとは言い切れません。
また逆に、評価の少ない製品がベストマッチとなるケースもあり得ます。

このため評価にはばらつきがみられますが、参考程度と捉えておくのが良いでしょう。
結局のところ、試してみないとわからないケースがほとんどです。

ライブサンドを使用する

バクテリアの定着手段としては確実性の高い方法です。
こちらはすでにバクテリアが定着済みの底床(アラゴナイトサンド or サンゴ砂)を導入する手法となります。

すでにバクテリアが定着済みの底床を導入する形になるため、添加剤の投入よりも高い定着率が見込め、この中では一番早くサンゴを導入可能な環境を構築しやすいです。

即効性を求める場合は最も優先度が高くなりますが、その分コストは割高です。
小型水槽であれば1袋で足りますが、大型水槽であればあるほど、必要となるコストが大きくなります。

底床すべてをライブサンドで埋めることが理想的ですが、コスト上の難がある場合はライブサンドは1袋だけ導入し、ほかは安価なドライサンドで埋め合わせるという方法もあります。

この場合、バクテリアの定着に時間はかかりますが、必要なコストを下げることができます。

ライブロックを使用する

リーフタンクを構築するにあたり、水質の安定を図るためライブロックを導入することも多いでしょう。

ライブロックの表面には多数の生物が付着しており、バクテリアもその例外ではありません。
したがって、ライブロックを導入していれば、それをタネとしてろ過バクテリアの定着が期待できます。

ライブロックも投入量が多ければ、その分初期のろ過能力も高くなります。
ライブサンドやバクテリア剤を導入した場合に比べると定着には時間を要しますが、有効な手段の一つです。

何もしない

実は何もしなくても、ろ過バクテリア(硝化バクテリア)は発生し定着します。

まるで自然発生しているかのように見えますが、実際のところドライで販売されている底床や、サンゴなど生体を購入したときに含まれる飼育水中にも、バクテリアはわずかながら含まれています。

このためタネとなる数が非常に少ないだけで、いたるところにろ過バクテリア自体は存在しているのです。

タネが少ないので当然、バクテリアの定着には時間がかかります。
何もしない場合ではろ過バクテリアの定着まで2~3ヶ月も要する場合がありますが、コスト的には0です。

その間底床と水以外に何も入っていない水槽をしばらく眺める形になりますが、気長に待てる場合は選択肢になります。

生物ろ過の基本 まとめ

  • ろ過バクテリアはリーフタンクを構築する上で最も重要な存在です。
  • アンモニアを亜硝酸に酸化するものと、亜硝酸を硝酸塩に酸化するものとの2種がいます。
  • バクテリアの定着は、バクテリア剤の添加が最も一般的な手段です。
  • ライブサンドを導入すると、短期間でサンゴを導入可能な環境を構築できます。
  • ライブロックからバクテリアの定着も見込めます。
  • 実は何もしなくてもバクテリアは定着しますが、その場合2ヶ月以上待つことも多いです。

ここで紹介したものは、水槽を新しく立ち上げる場合における生物ろ過の基本になります。
他にも様々なバクテリアがいますので、よりリーフタンクをクオリティ高いものに仕上げていくために活用していくと良いでしょう。

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