マルコロックとはかつてサンゴ礁であった地層からフロリダ半島の地層から採掘された多孔質の石灰岩で、主にリーフタンクのレイアウトロックとして用いられている素材です。以下のような特徴があります。
- 多孔質構造: バクテリアが定着しやすく、ろ過能力が高い。
- 自然な外観: サンゴ礁のようなリアルな見た目で、水槽の美観を向上させる。
- 加工が可能:破砕・接着により任意の形状に作り上げることができ、レイアウトの自由度が高い。
基本的にはリーフタンク向けにリリースされている素材であり、サンゴのレイアウトにおいて最適な素材といえるでしょう。
しかしながらサンゴ水槽で利用できるということは当然、海水魚メインのコミュニティタンクで利用することも可能です。
今回は、敢えてコミュニティタンクでマルコロックを利用する場合のポイントについて解説していきます。
▼マルコロックについて基本から知りたい方はこちら
コミュニティタンクでの活用方法
マルコロックにはいくつかの形状があります。
形状別に用途例を紹介します。
リーフセーバー

大きな塊をそのまま使うか、ハンマーで割って小さなパーツにして使用します。
割った後接着せず、そのまま転がしておくだけでも雰囲気が出るでしょう。
リーフセーバーを荒々しく配置するだけでも、リアルな岩場を再現できます。
底面の形状が不定となるため、基本的には遊泳魚向きです。
岩の隙間を泳ぎ回るクマノミやスズメダイ、遊泳性のハゼ類などとの相性が良いでしょう。
ファウンデーションに比べ、複雑な岩場を組み上げることができるのがポイントです。
あまりたくさん入れすぎると遊泳スペースを阻害してしまうので、適度な数入れるようにしましょう。
▼リーフセーバーについて 詳しくはこちら
ファウンデーション

安定した土台として使用でき、整ったレイアウトを作りたい場合に最適です。
リーフセーバーに似た質感ですが、底面が平らなため、安定して設置しやすい点が特徴です。
乱雑に転がしておく荒々しいレイアウトにはリーフセーバーのほうが向きますが、整然としたレイアウトにしたい場合はファウンデーションのほうがおすすめです。
こちらはほとんどすべての海水魚に適します。
クマノミやスズメダイなどの遊泳魚はもちろん、底面が安定しているため岩の周辺を縄張りとするハゼやギンポなどの隠れ家としても好相性です。
ヤッコやチョウチョウウオのような広い遊泳スペースを必要とし、かつ複雑な岩組を必要としない魚種との相性はさらに良いでしょう。
コミュニティタンクにおいてマルコロックを単品で利用する場合、ファウンデーションの使い勝手が一番良いかもしれません。ただし、単品ではやや存在感に欠けるのがネックです。
ある程度レイアウトとしての存在感を保つには、遊泳の邪魔にならない程度に量を加減しつつ、リーフセーバーと組み合わせていくと良いでしょう。
▼ファウンデーションについて 詳しくはこちら
シェルフ

薄い板状のマルコロックを使って、複雑でナチュラルなレイアウトを作成できます。
ハゼやギンポなどの石の下に隠れる習性を持つ生体との相性が特に良いでしょう。
または、石の上に乗る習性を持つ生体とも相性が良いです。
シェルフは板状や、それが重なった層状になっているものが多く、リーフセーバーとはまた違った形状をしています。
表情豊かな素材ではありますが、リーフセーバーと比べると重量当たりのコストが嵩みます。
リーフセーバーやファウンデーションと組み合わせて利用することで、この点は解決できます。
▼シェルフについて 詳しくはこちら
注意点
コミュニティタンクにマルコロックを導入する際の注意点として、「魚の遊泳スペース」が十分にとれているか確認してください。
特に、大型魚を入れる場合はマルコロックが遊泳スペースをむやみに占領してしまっていないかどうか注意が必要です。
マルコロックの複雑な形状は小型魚にとって良い隠れ家になりますが、大型魚が体をぶつけるとダメージを負う可能性があります。
目安として体長10cm以上の魚は注意が必要です。
大型魚中心の水槽にマルコロックを入れる場合、魚種の生態とレイアウトはよく勘案してから導入してください。
小型魚中心の水槽であれば、マルコロックの隙間を住みかとして有効活用できるため、相性が良いでしょう。
やっぱりサンゴも入れてみよう
このように、マルコロックは工夫次第でコミュニティタンクでも十分活躍します。
サンゴを食べてしまうポリプ食の魚種が入っていないのであれば、サンゴも少しでも配置してみると華やかさが増し、おすすめです。
ただし、ヤッコやチョウチョウウオの仲間を主役としたい場合は、サンゴは入れないほうが良いです。
なおヤッコの仲間でも、一部の種ではある程度サンゴと共存可能なものもいます。
詳しくは以下の記事をご確認ください。
クマノミやスズメダイ、ハゼ、ギンポなどがメインのコミュニティタンクであれば、いくつかのサンゴは追加可能です。
コミュニティタンクではリン酸過多の状況に陥りやすくなりますが、そのような水質環境下でも比較的飼育しやすいサンゴとして、例えば以下の種が挙げられます。
▼各種サンゴのより詳しい特徴は以下の記事で解説しています。
コミュニティタンクで活躍するマルコロック まとめ
マルコロックはリーフタンクだけに限定されず、海水魚中心のコミュニティタンクでも活用できる素材です。
バクテリアの定着していないライブロック、通称で「デスロック」と呼ばれるものと、ほぼ同じ用途でお使いいただくことが可能です。
リーフセーバーは、大きな塊をそのまま使うか、ハンマーで割って小さなパーツにして使用します。
クマノミやスズメダイなどの遊泳魚と相性が良いです。
ファウンデーションは、安定した土台として使用し、整ったレイアウトを作りたい場合に最適です。
ほとんどすべての海水魚に適し、特にヤッコやチョウチョウウオとの相性が良いです。
シェルフは、薄い板状のマルコロックを使って、複雑でナチュラルなレイアウトを作成できます。
ハゼやギンポなどの石の下に隠れる習性を持つ生体との相性が特に良いです。
採掘量が少ないためか重量当たりの単価は嵩むので、コストをあまり割けないようであればリーフセーバーやファウンデーションなどと併用し、レイアウトのディテールアップに使うのが良いでしょう。
共通の注意事項として、大型魚の水槽に入れる場合は魚の遊泳スペースが十分にとれているかを確認してください。
遊泳スペースが不十分だと魚がマルコロックに体をぶつけてしまい、ダメージを負う可能性があります。
小型魚であれば、マルコロックの複雑な形状は隠れ家として利用できるため相性が良いです。
これらのマルコロックの形状が持つ特性を把握し、魚種の生態を組み合わせ、豊かな海洋生態系を自宅に作り上げましょう。
リーフタンクのみならず、コミュニティタンクでも、ぜひマルコロックを活用してみてください。
コメント