飼育生物別 サンゴ砂粒サイズの選び方

底砂として使う用途では、飼育する生物により適したサイズが異なりますので的確に使い分けしましょう。
この項では、どのサイズがどんな生物の飼育に向いているかの具体例を挙げていきます。

サイズの詳細については、こちらの記事をご覧ください。

細かめな粒(サイズ#0~#3)が適している生物

#0
#1
#3

粒の細かい砂は大きく分けて2とおりの使い方があります。

ひとつは酸素が届かない嫌気層が必要な生物の飼育。
もうひとつは砂に潜る生物や砂を食むことでエサを摂る生物の飼育です。

これらの生物を飼育するときはなるべく粒のサイズが3mm以下の細かい砂を使用しましょう。

嫌気層が有効に働く生物

ハードコーラル
ソフトコーラル

サンゴ全般は栄養塩が過剰にありすぎると成長に支障をきたすことがあります。
とくに炭酸カルシウムの骨格を形成するハードコーラルの仲間はリン酸塩による成長阻害が起きることがあります。
嫌気性バクテリアを上手く機能させることで栄養塩の処理がスムーズになり、サンゴの健康を保つことができるようになります。

サボテングサ(砂地の緑藻)
アマモ(砂地の海草)

緑藻や海草の仲間で砂地に根を張るものは代謝に嫌気層を必要とします。
サボテングサやアマモの仲間は、細かい砂地に植え込むようにしましょう。

細かい砂を食むことで摂食する生物

ベントス食性ハゼの仲間
ナマコの仲間

ベントスハゼは細かい砂を食みながらエサとなる有機物を摂食します。
ナマコの仲間は砂の表面に生えた付着型珪藻を摂食するため、なるべく細かい底砂が適しています。

砂に潜る海水魚

ガーデンイールの仲間
(チンアナゴ&ウミヘビ)
ベラの仲間
カレイ、ヒラメの仲間
エイの仲間

海水魚の仲間にも砂の中に潜る種類がおり、そういった種類は細かい砂が必要です。
有名な種類ではガーデンイール(チンアナゴ)の他に、ベラやエイの仲間は砂に潜って休みます。

粒が小さく角の立っていないサンゴ砂は、砂に潜る海水魚の体表を傷つけてしまう心配がほとんどありません。

砂地が必要な無脊椎動物

ケヤリムシの仲間
ブンブクの仲間
タコの仲間
クルマエビの仲間

無脊椎動物にも砂に潜る種類が多く見られます。
これらの生物も休むために砂に潜る必要がある種類がいるため、落ち着けるよう細かめの砂を隠れられる程度の厚みに敷いてあげましょう。

大きめの粒(サイズ#10~#15)が適している生物

#5
#10
#15
#25

粒が大きめの砂が有効なのは、主に底砂内に巣穴を掘る生物です。
他にはサンゴ礫を齧ることで歯の伸びを抑える海水魚もいます。

飼育する生物の種類により、それぞれの生態に合わせたサイズを使用しましょう。

巣穴を掘る生物

ジョーフィッシュの仲間
カエルウオの仲間
共生ハゼの仲間
テッポウエビの仲間

巣穴を掘る生物の飼育には粒が大きめ+サイズが不揃いな底砂が欠かせません。
#5~#10を混ぜたものを基本に、#15~#40をまばらに加えることで崩れにくい巣穴を作りやすくなります。

巣穴を掘る魚やエビは、大きい粒で壁を作り、細かい砂で間を埋めて巣穴を作ります。

サンゴ礫(石)を齧る海水魚

大型フグの仲間
モンガラの仲間
ブダイの仲間

他にはサンゴ礫を齧ることで歯の伸びを抑える魚もいます。
代表的なものは大型フグ、モンガラ、ブダイの仲間です。

フグやモンガラは、硬い殻を持つ大型のカニやエビ、巻貝などもものともせずに嚙み砕ける強力な歯と顎を持っています。ブダイの仲間はミドリイシなどのハードコーラルを骨格ごと噛み砕いて捕食します。

このタイプの魚はくちばし状の鋭く硬い歯を持っています

これらの魚を健康に長期飼育するためには、歯が伸びすぎないようにサンゴ礫を齧らせて歯を削らせる必要があります。個体によってはストレス解消にも良いのか、遊び感覚でガリガリと齧るものもいます。

こちらの用途では厚く敷く必要はないので、飼育している個体のサイズに合わせて咥えやすいサイズのサンゴ礫を数個ほど転がしておきましょう。

ろ材として使うときの目安

#25
#40
#100-200塊
#100-200枝

粒の大きい礫サイズのものはコストパフォーマンスに優れたろ材として使用することもできます。
また粒の形状により、好気性ろ過を重視したろ過システムや嫌気性ろ過を取り入れたろ過システムにも使用することができます。

活魚水槽、大型海水魚水槽のろ材として

近海産活魚
大型エビ、甲殻類
大型ヤッコ(大型海水魚)
大型ウツボ(大型海水魚)

体の大きい海水魚や甲殻類はアンモニアに弱く、硝化バクテリアがしっかりと機能しているろ材があることが望ましいです。目詰まりしにくい好気性ろ材として「#25」「#40」「#100-200枝」などがオススメです。

#25
#40
#100-200枝

長く使用しているうちに粒の間に活性汚泥(デトリタス)が溜まるようになります。
1か月に1回ほどのペースで取り出し、海水ですすぎ洗いして溜まったデトリタスを洗い流してください。

嫌気領域を伴ったろ材として

#40
#100-200塊

サンゴ礫の粒が大きなサイズ、特に直径が5cmを超える大きなものは内部が酸素の届きにくい嫌気領域になりやすい傾向があります。この性質を利用して嫌気性ろ過を働かせることも可能になります。

フィルター自体に特別な構造などは必要なく、「直径5cm以上の大きな塊」を使用し、嫌気性バクテリアとそのエネルギー源となる「炭素源」を使うことで嫌気性ろ過を兼ねたろ材として機能させることができます。

嫌気領域を伴ったろ材として使用する方法は、サンゴ水槽においては重要なろ過システムとなります。
嫌気性バクテリアやろ過システムなどに付いては、別の記事で触れていますので、そちらも併せてお読みください。

飼育生物別 サンゴ砂粒サイズの選び方 まとめ

このようにサンゴ砂とひと口に言っても、その使い方は多岐に渡ります。
その機能性を活かすには、粒サイズ毎の特性と飼育する生物の生態をある程度把握する必要があります。

飼育する生物によってサンゴ砂を使い分けることで、その生態をより深く楽しむことができるようになります。

飼育する生物が決まっていて、どんなサイズのサンゴ砂を使えばいいか迷ったときは、この記事を参考に使い分けしてみてください。

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