TDSとは
TDSとはTotal Dissolved Solidsの略で、日本語では総溶解固形物という意味を持つ言葉です。
これは水に溶けている無機塩類(カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどの陽イオン、アンモニア、炭酸イオン、炭酸水素イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオンなどの陰イオンの化合物)と水溶性の有機物すべてを併せて検出した数値を表します。
要約すると「水に溶けているH2O以外の不純物の総量」のことをTDSと呼ぶのです。
海水の成分から見るTDSの内訳
TDSがどういうものか、まずは具体例として海水を例にして説明しましょう。
ご存じのように海水は塩化ナトリウムをはじめとした大量の無機塩類を含んでいます。
TDSメーターで海水を計ると高い数値が表示されますが、その内訳(成分の種類)まではわかりません。
TDSメーターで検出できるのは上図左側の無機塩に有機物を加えた総量のみです。
右側の元素別の検出は別途、試薬や検出機器を使う必要があります。
こういった理由から、海水水槽ではTDSメーターが本水槽の水質を計るのに使われることはほとんどありません。
正しいTDSメーターの使い方
では、TDSメーターは本来どういった用途で使われるのか?
その主な役割はRO浄水器の状態をチェックするためです。
RO浄水器は逆浸透膜(Reverse Osmosis membrane)と呼ばれるフィルターを使って水を処理し、純度99%の純水を作ることができます。
しかし、処理水量が増えていくと次第に不純物の除去率が落ちて水に含まれる物質の総量が増えてしまいます。そのためTDSメーターはRO浄水器の逆浸透膜フィルターに寿命がきたかどうかを判別するために使われるのです。
リーフタンクにおいてはRO浄水器のチェック以外に、人工海水の原水の水質をチェックする用途でも使われます。
原水のTDS値が高い場合は、硝酸塩やリン酸塩、ケイ酸塩、余分な有機物などが含まれていることがあるため、浄水器を使用するべきかどうかの目安を確認することができます。
もし、ご自宅の水道水のTDS値が高い場合には、さまざまな試薬で水質をチェックしたうえで目的に応じてカーボンフィルターやイオン交換フィルター、RO浄水器などの導入を検討されるとよいかと思います。
TDSメーターの種類
アクアリウム向けのTDSメーターは大きく分けて2種類が存在します。
主に手動で計るハンディタイプと、配管に組み込んでリアルタイムで計測するモニタータイプ。
このうちハンディタイプをTDSメーター、配管に組み込むタイプ(インライン型)をTDSモニターと呼んでいます。
人工海水を作る原水のTDS値を計りたい場合はハンディタイプを。
RO浄水器の状態をリアルタイムで計りたい場合はインライン型が便利です。
まとめ
リーフタンクにおけるTDSメーターは、本水槽の水質をチェックする用途には基本使いません。
しかし、RO浄水器の寿命チェックや人工海水を作る原水の水質チェックを行うには比較的手軽なアイテムではあります。
設備をしっかり整えていてもいまいちサンゴの調子が上がらない場合は、人工海水を作る原水の水質が関係している可能性もあるかもしれません。
原水の水質チェックは塩分比重のズレと並ぶ見落としやすい要素でもありますので、定期的に確認されることをお勧めします。
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